「刈りけりな 一むらすすき としの暮」如心斎
いよいよ12月13日事始めとなり、新年への準備を始めているつもりなのですが、この時期になると気ばかり急いて上手く物事が進みません。私だけでしょうか。皆様は如何ですか?市場も12月の第1週・2週と正月物も特別の市が立ちます。第1週目は、「若松」・「万年青」。第2週は、「老松」・「大王松」・「千両」です。今週は、第1週目の市での「幸来松」を御紹介します。
本来「松」と言えば老松を指すと思っています。自然の中で十分に年月を費やし、ゆっくりと育ったものです。男松・女松があり、通常は女松が流通しています。男松は、どちらかと言うと木肌がゴツゴツしており、葉も固く、太いものです。女松は、木肌がどちらかと言えば赤く(赤松)、葉も細いものです。常緑の松は、古くから「神」の依代として、私達の生活に密着した植物です。古代人は、一年中葉の色が変わらない松を見て、普遍を感じていたのかも知れません。それを目出度いものとして尊んで来たのです。(私は、松の寄生植物の松茸に興味がありますが!?)その松を私達の生活の場所(居住空間)に取り入れたのが生け花です。いつも思うもですが、不思議と生け花の一部に松を使うと、下手な私が活けても、とても良い作品に仕上がります。作品が締まるのです。それは、私達が松に対して培ってきた観念がそうさせるのかと思います。私達の心の中にまで入ってくる植物もあるのかなと思います。不思議な植物です。
通常私達が「若松」と呼んで競りにかけているものは、出荷までに約3~4年を要します。然し、今回ご紹介する「幸来松」は約7年を要します。実はこの松、老松を模して考案されたものです。以前のように、床を構えて花を活けることが出来ない環境になってきました。仮床があれば良い方です。出窓であったり、テーブルの上であったりと、スペースがどんどん狭くなってきています。然し、若松では風情がなく面白くないという事から、華道をされていた生産者の方が考案されました。老松のように大きくなく、木肌も若松のように樹皮がゴツゴツしていない松です。軸の大きさも若松クラスの太さです。葉も密にあり、老松のミニチュア番といったところです。生け花によし、アレンジによしと重宝に利用できる松です。年月を掛け作り上げた人工の松。形を作る生け花においても少し不自然なような気がしますが、現代の生活環境にマッチするように考えられたところは、なかなか先見の明がある方だったのでしょうね。今その志を継いで、二代目の方々が御作りになっていらっしゃいます。最初に見た時はう~んと思いましたが、いざ使う側になってみるとなかなか面白い松です。松から一歩踏みだした「松」。今年はこの「幸来松」を活けて、一年幸いに過ごしましょう!!(児玉)
2010年12月24日
いよいよ師走になりました。月半ばには「事始め」を迎え、新春への準備が始まります。そんな中、市場も師走ならではの市が立ちます。第1週と第2週に行われる「松・千両」の特別大市です。因みに、第1週は「万年青・若松」、第二週は「老松・千両」です。これを迎えると、市場も徐々に新年に向って活気漲る様相を呈してきます。
今回はその中で、江戸初期から改良の進んだ「万年青」をご紹介します。もともと万年青は、徳川家康が江戸に入府の折、家臣の一人が万年青を献上したことに端を発するようです。古代より一年中変わらぬ青い葉を持つ植物には、神の依代として人々の間で信仰の中心的な存在となってきました。一年中変わらず青い葉を持つ万年青も、縁起の良い植物として尊ばれました。葉の持つ形状や色彩から(これらを総称して「芸」と呼ぶ)、現在私達が接している「観葉植物」の日本版と言えるものです。その葉の特殊性・美しさから、投資の対象とされました。数々の逸話を持つ植物のようです。まるで一時期の大豆相場を彷彿とさせるものがあったようです。景気の良い時は、植物も投資の対象になるようです。現在ではとても考えられないことです。
万年青は、元々本州南部から中国の暖地にかけて分布する植物です。野生種の万年青は30~40cmの深緑の葉を持っており、葉は左右に振り分けるように出てきます。生け花の世界では、これを模して特殊ないけ方をします。本来奇数を基としていますが、万年青は偶数を基としています。それは、万年青を株で活けるからです。通常万年青は、新芽が4枚を基準として芽ぶきます。真・副・体の三役で構成する生け花も、立葉・露受葉・流し葉・前葉の四役で構成します。立葉・露受葉は一年目の株で、流し葉・前葉は二年目の株です。その他のあしらいの葉は三年目の葉です。このいけ方は、自ずから生うる姿を机上にあらわしたものです。
先人達は、とてもよく自然を見つめています。植物の素性を弁えて、その姿を崩さず、また無理に形を作り上げず、自然の成りに活け方を模索しています。
毎年御縁を頂き、日本一の万年青の生産地「徳島県」相生町の小学生に、万年青の話と活け方の講習に伺っております。当初は、御多分に漏れずいまいち興味をそそらない状況でしたが、理を徐々に説明するごとに興味を持ち始めてくれます。そして実技に移ると、より一層興味を持ってくれます。まず頭で考え、そして触れ、植物の持つ様々なものを身に付けてくれます。私共、植物を扱う者も、今後より一層植物に触れ、商品としてだけだはなく、命を持つものとして接していきたいものです。(児玉)
2010年12月2日
霜月になり、急に冬の様相に変わりました。風邪を召されてはいませんか? 市場に入荷する枝物も徐々に、冬の訪れを思わせるものが入荷しています。霜が降りると紅葉物・実物が終了に近づく頃となりますが、今年は全般に実の付きもあまり良くなく、とても寂しい思いをしております。その様な中、鮮やかな赤い花を咲かせてくれる「ボケ」が登場し始めました。
ボケは、バラ科の植物です。原産は中国ですが、平安時代に渡来し江戸時代から広く栽培されています。この植物もご多分にもれず、江戸時代に品種改良が進み、様々な色合が登場しました。淡紅・緋紅・白・白と紅の斑等あります。園芸品種としては、200種以上知られています。欧米等で改良・作出されているものを合わせるとそれ以上です。花の時期は、本来3~4月頃ですが、昨今は11月から(寒ボケ)4月までと冬の花木の代表として、長く私達を楽しませてくれます。花期の長いものは、翌年の春から夏までに及びます。 日本にも自生種があり、本州や中国・四国の山野に分布する草ボケがあります。中国から渡来したボケは、樹高が2mくらいになりますが、日本自生種は1mくらいで花も小振りです。 中国渡来種は、実の形から「木瓜」(もっけ)と呼ばれていましたが、モケそしてボケと変遷していき現在に至っています。然し、ボケの語源はギリシャ語で「裂けたリンゴ」の意味です。同じバラ科なのですが、実の形からの発想かと思います。日本人の私には、とても発想できないことだと思います。 生け花の世界では、かなり頻繁に使用する花材の一つです。私も良くこの花を活けます。特に冬季には、ボケの大胆な線、野趣を醸し出す枝、赤く美しい花を一種で活けるととても素敵です。白玉椿を合わせてもイケますよ。 花木を活けると、私達はつい流儀花を意識します。然し、一寸花木を挿してみるのも良いことだと思います。吸水性のスポンジにでも気易く挿してみてください。剣山に比べるとスポンジはとても挿し易いです。木瓜はとても水が揚がり易いから大丈夫です。 冬季は花木の季節です。木瓜に限らず、様々な花木に接してみてください。違った花木の一面が垣間見えるかも知れません。 (児玉)
2010年11月16日
流石に10月も中旬を過ぎると、夜は寒くなってきました。私も少々風邪気味ですが、ゆっくり眠れる時期になりました。秋のお祭りも各地で行われ、豊穣の礼の舞いを拝する頃でもあります。季節は確実に変わっています。そんな中、枝物も少し紅葉をはじめ、春から私達の目を楽しませてくれた緑は、徐々に紅色に頬を染めて私達の心を潤してくれています。
今回は、ユリの木を御紹介したいと思います。北アメリカ中部原産の植物で、モクレン科です。日本には、明治時代初期に渡来したそうです。原産地あたりでは、樹高が60mにもなるそうです。
名前の由来は種々在りますが、一説によると大正天皇が皇太子の折に命名されたとも言われています。それは花の形から命名されています。然し、チューリップにも似ていることから、チューリップの木とも言われます。別名も面白いものがあり、袢纏木・奴凧の木のように、葉の形からも命名されています。軍配にも似ているとも看做され、軍配の木とも呼ばれます。
この木は、市場においての流通は殆どありませんが、私達の身近にある木なのです。実は街路樹として、私達の目を和ましてくれています。楽器の材料にもなります。花は5~6月に咲き、良質の蜂蜜が得られるようです。意外な感じです。きっと美味しいと思います!?一度食して見たいものです。ユリの木は、奇麗な紅葉をします。この木は、とても素敵な黄色になります。落葉の舞い散る時期、赤に交じって黄色の鮮やかな落葉はなかなか良いものです。少し葉が大きいのですが、黄色になった葉は、自然に押し花のように乾燥します。ただし、木が大きいだけに、かなりの落葉が落ちてきます・・・・。
先日、某花会でこの木を使いました。水揚げは、思ったより良かったです。木ものなので、切り口を十文字に割り、切り口から5~6cm程皮を削ぎました。葉の緑と紅葉の黄色のコントラストがとても奇麗でした。今後は、是非皆様のもとにお届けできるようにしたいと思います。なかなかイケテますよ。
普段何気なく見ている木の中にも、私達の美の心をそそるものがあります。葉の色、枝の様子、花等様々に私達の目に入ってきます。まだまだ見落としているものが沢山あるように思います。商品化できるかどうかは別として、私達を潤してくれる「緑」を、もっと身近に置き、大切に扱うことが大切だと思います。
2010年10月29日
なかなか夜の温度が下がらず、寝苦しい夜が続きましたが、やっとエアコンを止めて熟睡できるようになりました。寒さ、暑さも彼岸までと言いますが、間違いないですね。自然は不思議です。虫の音も聞こえ始めました。この猛暑の為、実物もなかなか出荷されず、今年は運悪く裏年に当たっており前途多難な秋です。このような初秋ですが、秋を運んでくれる植物もあります。
この時期には、サンキライ(サルトリイバラ)・マユミ・ナナカマド等の出荷がありますが、今年はツルウメモドキのみ順調に出荷されています。
このツルウメモドキは、日本を含め東アジア一帯に自生しています。実は、ニシキギ科の落葉の蔓性植物です。日当たりの良い林によく見かけます。今の時期は、まだ実が青く、他の樹木と見紛うため解り難いものです。然しもう少しすると、実が弾けオレンジ色の奇麗な実を見せてくれます。生け花や装飾花としてよく用いられます。
管理は至って簡単です。切って水に付けているだけで実は弾けます。また、実を弾かさないで保存するには、濡れた厚手の生地を被せるか、日光が入らないような色付きの厚手のシートを被せ、たまに水を打ってやると大丈夫です。私達が思うより、植物は強いものです。
また御利用頂いた後は、リースに活用できます。そのまま使っても良いし、形を作った後ペンキで着色しても良いと思います。幹が固くなってきたら、少し水に浸けて柔らかくするのも良いかも知れません。とてもツルウメは繊維が多く、細工し易い代表的な植物です。実の美しさもありますが、細工のし易さで生け花に良く利用されます。秋の花会では、ツルウメ一色かと思われることもあります。植物自体持つ美しさ、特に下がる蔓物の線がとても繊細で、様々な動きを醸しだしてくれます。
昨今の自然環境の変化で、なかなか思うように材料が入って来難くなってきました。ましてこのような気象状況の中、より困難になるかも知れません。求めるのも一つの方法ですが、あるものを使い、またもう一度利用するものいいかなと思います。これもエコの一つではないでしょうか?(児玉)
2010年10月3日
皆さん、お盆は如何お過ごしになりましたか。帰省され、御墓参りに行かれましたか。お盆を過ぎると徐々に秋へと季節が移りますが、昨今はなかなか涼しくなりませんね。ひととし取ると、秋の涼風がとても恋しくなります。暑いのは堪えます。
秋は実りの季節です。当然私達の市場にも、秋の実物が入荷し始めます。つる梅・マユミ(ハコビシ)・梅もどき等様々です。その中で、皆さんが良く御存知なのが「栗」です。喰いしん坊の私は、ついつい食べる方に心が動くのですが、生け花・アレンジメントフラワーに使ってもなかなか良いものです。季節感も出て、秋には欠かせない商材です。
(さらに…)
2010年8月22日
梅雨も明け、灼熱の季節となりました。気のせいか、年々夏が熱くなるように感じます。(年の所為でしょうか!?)この暑さを乗り切る為に、土用に鰻を食し、体力を付けております。暑さを乗り切る工夫は、体力を付けるだけでなく他にないものでしょうか?古く私達は、打水をしたり、竹籠に季の花を活け、心の涼を求めてきました。その暑さも愈々ピークに達する「お盆」になります。「お盆」を過ぎれば熱さも一段落となってくれると良いのですが。関東では新盆ですが、私達は旧盆の8月に御先祖をお迎えし、供養いたします。その御供養に使うのが「蓮花」です。
広島は、多くの蓮畑を有する岩国に隣接しており、食用の蓮根には恵まれています。活ける花としては、当地は「蓮」がなかなか根付きませんでした。何故かと言うと、広島は浄土真宗安芸門徒で、供養の花は野にある花をという教えがあったからです。昨今は、上方の影響で「蓮花」を使うようになりました。
「蓮」の歴史は古く、インド原産の植物で、西暦2~3世紀頃には仏様は既に蓮台に鎮座されていました。仏教界においては、シンボルフラワーです。泥の中から芽を出し、目にも美しい花を咲かせる花。古き人々にとっては神秘な花だったのかも知れません。その後中国を経て日本に入ってきました。蓮に纏わる言葉もあり、
「一連托生」・「蓮の葉商い」等がそれです。また歌もあり、「ひ~らいた ひらいた なんのはながひ~らいた れんげのはなが ひ~らいた」がそうです。生け花の世界では、「蓮」の花・葉・実を現在・過去・未来に例え、宇宙観を蓮に見い出しています。植物の持つ「素性」をうまく表現していると思います。そういう意味ではとても私達に密着した花です。
蓮の葉はとても水揚げをしにくい植物と言われています。蓮の水揚げにはポンプを使うと簡単です。茎には蓮根と同じだけ穴が開いており、そこにポンプで水を送り込みます。水が上手く入ると、水揚げ前より色が変わってきます。そうすると1~2日は、上手くすると3日持ちます。また葉表の蒸散を馬油等で抑えると、若干ですが持ちが良くなります。
花も同じようにするのですが、なかなかうまく咲きません。蓮肉は大丈夫です。自然は上手くなっているもので、美しいものは寿命が短いのかも知れません。然しその美しさは、夏には欠かせない絶品の風物詩です。
今年は、気象の以上により例年より蓮花の出荷が遅れてきました。然し今週辺りから出荷も増える予定です。御先祖の御供養とともに、夏の花「蓮」の花・葉・実を身近にご覧頂ければと思います。(児玉)
2010年8月3日
梅雨明けは何時になるのでしょうか?全国では局地的なゲリラ豪雨も発生し、梅雨末期の様相を呈していますが、鬱陶しい梅雨はまだまだ続きそうですね。そんな梅雨を払拭してくれる「花」はありませんかね?
(さらに…)
2010年7月11日
いよいよ梅雨入りですね。暫くは雨模様が続きそうです。そんな時期にピッタリなのがススキです。お月見の時期には欠かせませんが、今からの葉は、雨に打たれて一段と鮮やかです。
ススキの「ス」は細いの意味で、それに草(キ)がついて名付けられた様です。イネ科の植物で多年草、別名「尾花」と言います。花の部分が動物の尾に似ているからです。全国に繁茂していて、朝鮮・中国にも分布しています。東アジアに約10種あり、日本に7~8種あるそうです。冬は地上部が枯れてしまいますが、温かい沖縄あたりでは常緑になっています。
秋の七草としても有名です。「萩・葛・撫子・女郎花・藤袴・朝顔」そして「尾花」です。あきの風情を醸し出す代表的な植物の一つですね。万葉集には35首も詠み込まれており、ススキの持つ抒情が日本人にあっているのでしょう。また、有史以前から屋根材(茅葺屋根)として利用され、古くは各集落に萱場があり、皆が共同で管理を行っていました。
しかし、この植物は水揚げが悪いと言われます。特に風には弱いのです。今からは空調機をよく使いますし、部屋も乾燥します。この二点には気を付けて下さい。空調機の風は、葉の表面の葉面境界層を破壊します。水揚げについては、市販の水揚げ剤も有りますし、また酢を希釈して(あまり濃いと逆に枯れてしまいます。自分で舐めて少し酸っぱいくらいで結構です。酢で切り口を殺菌します。)水揚げするのも効果的です。逆さ水も良いかも知れません。
ススキは秋の代表的な花とされています。実際穂の部分(花)や紅葉した葉の美しさは比類ないものがありますが、緑の葉もなかなか爽やかなものです。生け花の世界では、夏から秋にかけて、様々な花形の主材になったり、脇役になったり、大活躍です。なかなか貴重な花材です。ただし葉の縁に鋭い鋸歯があります。呉々も扱いには注意してください。
種類も沢山あります。通常のススキ・広島では島嶼部で見られるトキワススキ・品種改良された鷹の葉・縞ススキ(中斑・外斑)・糸ススキ・ハチジョウススキ等があります。普段私ども市場で扱っているものは、山ススキ・鷹の葉・縞ススキ(外斑)が殆どです。穂の色も白っぽいもの、ピンクぽいもの様々あります。間もなく葉や穂を楽しめる季が来ます。穂を乾燥させて加工することも出来ます。昔の人々のように、現在に合った利用方法で、私達のより身近なものにしていければ良いですね。
2010年6月27日
皆さん、こんにちは。やっと6月らしくなってきました。今回ご紹介するのは「アジサイ」です。
間もなく訪れる梅雨ですが、鬱陶しいこの季を爽やかに過ごさせてくれるのがアジサイですね。アジサイ科アジサイ属の総称で、学名は「水の容器」と言う意味だそうです。樹高は1~2mになります。私達が何時も見ているアジサイは、西洋アジサイと言います。日本原産のガクアジサイを改良した品種です。6月~7月にかけて花を咲かせますが、実は私達が「花」と思っているものは、装飾花と呼ばれるもので、萼です。本来の花は、中心部で小さく目立たないのです。密やかに咲いています。
よく昔から、「土壌が酸性ならば青、アルカリ性ならば赤」の花が咲くと言われます。しかし、はじめは青かったのに、咲き終わりになると赤みがかってきます。それには様々な要因があるようで、一概に土壌の為だけではないようです。私もたまに青くなります?!
あじさいの名は、「藍色があつまったもの」を意味する「あづさい(集真藍)」が訛ったそうです。漢字では「紫陽花」と書きますが、唐の詩人白居易がライラック(?)に名付けていたものを、平安時代の学者がこの漢字をあてた事から誤って広まったのです。万葉集には、大伴家持と橘諸兄が詠み、平安時代以降は藤原定家をはじめ数々の人によって詠まれています。
切花にするとよく水が下がると言われます。美しいものは弱いのでしょうか?しかしちゃんと手当をすると上手く水揚げが出来ます。アジサイの茎の中は綿状のものが詰まっています。その外側に水や栄養を吸い上げる維管束があります。まずはその綿状のものを取り除き、バクテリアの発生を抑えることです。でもそのようなことやってる間に水が下がりそうです。手っとり早い方法が湯揚げです。熱湯に約30秒ほど浸けることで、殺菌作用と茎の中が一時的に真空状態になり、切り戻しによって一気に水を吸い上げることが出来るからです。少し水が下がってきたらすぐ行ってください。ただし、花を紙などで巻いて行ってくださいね!葉に蒸気が当たって蒸れてしまいます。くれぐれも注意してください。また、枝物ということで、切り口に部分を鉄鎚等で叩くという方法もありますが、見栄えの点でどうかなと思います。
少しでも長持ちをさせて、身近の涼を楽しんでください!
2010年6月8日
岩国の花屋 双葉園 です。
5月19日~5月24日。
東京の日本橋三越本店にて、池坊東京本部展が開催されました。
5月の連休明けに、東京の某花店さんからの御依頼でたくさんの老松を発送。
また、3年前よりお取引をさせていただいている先生からも老松他、ツツジ・藤などの依頼を受け、広島生花出荷協同組合の皆さんや枝物担当の児玉さんにお世話になりました。
当店にも招待状をいただき、林園子が東京までお勉強(?)に行ってきました。
西暦1462年に始まった池坊の古典立花が再現され、発送した老松が数多く使用されておりました。
お世話していただいた組合の皆さん、児玉さんありがとうございました。
2010年5月27日
こんにちは。今回は「ソケイ」のご紹介です。この時期、黄色の小さな花を付け、盛んに生け花商材の一つとして流通しています。本来は「黄素馨(キソケイ)」なのですが、市場では「ソケイ」の名で流通しています。モクセイ科の植物で、原産はアジア~アフリカの熱帯若しくは亜熱帯地方です。実は「ソケイ」は、皆様よく御存知のジャスミンを指します。大変種類が多く、約300種があるそうです。私も好きなのですが、ジャスミン茶は漢名で茉莉茶と言います。もともと茉莉花(まつりか)と言っていたのですが、いつの間にかジャスミンの一種のマツリカに名前を譲ってしまいました。
キソケイはジャスミンの仲間なのですが、様々な資料を見ると、香りがないと記述されています。花も落ち易いのです。水揚げは良好です。地植えの場合、暑さにはとても強いものですが、寒さには若干弱いようです。南国生まれのせいでしょうね。
しかし、私の嗅覚が少しおかしいのか!?香りを持っているように感じます。大きな鼻をくっ付けると、爽やかな香りがします。とてもジャスミンにはかないませんがね。
私どもの市場で通常ソケイとして流通しているものには、キソケイ以外にヒマラヤソケイ・オオバイがあります。後者2種類は、全体的に緑が濃く美しい色を持っています。またこれも花の持ちが悪く、香りもジャスミンのように強くありません。然し、キソケイ・ヒマヤラソケイ・オオバイは、素性が垂れるもので、その流れる線が故に生け花に使われています。なかなかお洒落な線で、掛け活けなどに最適です。現在は、以前の住宅とは違い極小化しています。その中で花を活けることはとても大変です。床構えがなく、ゆとりの空間を探すのは至難の業ですが、壁にはまだ余裕がありそうです。そんな壁に最適です。
ジャスミン種自体が熱帯の原産であることから、古代エジプトでは鑑賞用として栽培されていました。また16世紀中ごろには、フランスで香料原料として大規模に栽培されるようになったようです。茉莉花茶の着香には、マツリカが使用されます。夜間に咲く花を昼間に採花して、夜間に咲き始めたら茶葉と混ぜて香りを付けます。私事ですが、沖縄のサンピン茶が大好きで、パック茶を愛飲しています。サンピン茶は沖縄県でよく飲まれているお茶で、これはジャスミン茶を指す中国語(香片茶 シャンピェンツァー)から転じたものであるとのこと。一度お試しください!
また、法華経法師功徳品に「法華経を信奉する善男善女は六根清浄となり、その清浄なる嗅覚は、全宇宙のもろもろの香りと共に~」という章句があります。その中にある末梨花・須摩那花等の花が現されています。それは何れもソケイ科の花で、香りもソケイ科なのです。それだけ魅惑的な香りなのです。色々な場面で、私達は古くから「ソケイ」(ジャスミン)と関わりを持っているのです。
そんな木々が、私達の身近にあり、また購入することが出来ます。とても幸せなことです!人間と木々の係りを思い巡らしながら花をいける。そんなゆとりも必要ですね。(児玉)
2010年5月22日
新コーナー「枝物歳時記」をスタートいたします。季節の枝物の記事、どうぞお楽しみに。
桜も終わり、「目に青葉山ほととぎす初ガツオ」の季節となりました。さて、初ガツオに季節の目途は何時なのでしょうか?皆さんご存知ですか。暦で言うと5月下旬から6月初旬ですが、植物を目途にするとそれは柿の新芽の時期なのです。私達は植物を季節の暦として、生活に役立ててきました。切っても切れないパートナーなのです。そんな植物をご紹介したいと思っています。
今回は「夏はぜ」・「大葉酢の木」(オオバスノキ・キズ・スイバの別名を持ち、広島では「キズ」と呼ぶことが多いです。)のご紹介です。市場では、この時期から初秋まで出荷が続きます。これらの木はつつじ科に属します。特に「夏はぜ」は新芽の頃から夏場にかけ、黄櫨(ハゼ)の木のように鮮やかな赤色の葉を持ちます。5月から6月にかけて花を付け、やがて黒褐色に結実します。若干の酸味がありますが、食することが出来ます。「大葉酢の木(キズ)」も同様ですが、初夏は爽やかな緑です。しかし、秋の紅葉は夏はぜ以上です。
実はこの2種類の木は、サツキ科の植物です。と言うことは「ブルーベリー」(ヌマスノキ)と同種類です。ですから実が食せるのです。意外ですね。ただしブルーベリーのようには美味しくないし、少し酸っぱいようです。(実は私も食したことがありません!?)
この2種類の木は、一般の方がご覧になると識別が付きにくいものです。どちらかと言うと「夏はぜ」の方が大づくりです。「キズ」は全体的に締まっています。また、「キズ」は樹皮(薄い皮)が剝げ易い若しくは剥げているところがあります。それは成長が速いからだと思います。葉も解り難いのですが、「夏はぜ」は通常の樹木の様相で、「キズ」は平たいです。水揚げも容易で、切り口の部分を縦に十文字に切れ目を入れ、水に接する部分を多くすることでOKです。
また、この2種類の木は生け花材料としても利用されます。本来生け花には三つの名木と称されるものがあります。それは「松」・「檜」・「伊吹」です。この三名木は、古い時代~明治期にかけて、ある程度容易に身近にある物でした。建築材料であったり、燃料であったりもしました。然し、戦後開発が進み、自然が破壊されてい0きます。そのあとに繁茂したのが、夏はぜ・キズなどの雑木です。夏はぜもキズも、どちらかというと日当たりの良いところを好むのです。伐採された後に繁茂する理由です。それを逆手に取り、生け花材料として利用したのです。然し、現在も自然破壊を警鐘しつつも、徐々に身近な自然が無くなってきています。今後も自然を大切にしながら、上手く付き合ってみたいものです。(児玉)
2010年5月13日
鎮静効果 スキンケア効果 記憶力向上効果 抗ストレス効果 仕事の効率向上効果 安眠効果 集中力持続効果 健康促進効果 ポジティブ思考誘導効果 眼精疲労回復 浄化効果 免疫力維持・向上効果
アジサイ ガクアジサイ シャクナゲ ボタン カラー(湿地性) カラー(畑地性) カーネーション ヒメノボタン クレマチス イソトマ ガーベラ センニチコウ ブーゲンビリア ペラルゴニウム ハイビスカス パキスタキス アメリカンブルー ジニア(百日草) デュランタ フウセンカズラ カリブラコア カランコエ マダガスカルジャスミン アンゲロニア セレナ トウガラシ エキザカム ルリマツリ ハナスベリヒユ(ポーチュラカ) アサガオ キク(菊) クロサンドラ アザレア シクラメン コスモス キンモクセイ シャコバサボテン ポインセチア プリンセチア
ブルースター ガーベラ スプレー菊 スカビオサ バラ カーネーション アジサイ ひまわり りんどう クルクマ トルコキキョウ 蓮
ポトス スパティフィラム サンスベリア クワズイモ グズマニア ハートファーン(イヌアミシダ) オリヅルラン ストレリチア(極楽鳥花)