勝谷情報

 トルコギキョウの花色を発現させる色素は,大きく二つに分かれます。一つは,朝顔の花色のように,紫,赤紫,桃色,藤色の花色です。これらの花色の発現は,水溶性であるアントシアニン系の色素によって支配されています。紫はデルフィニジン(サントリーが開発に成功した青いバラは,バイオ技術によって,青色に発色させるデルフィニジンの遺伝子をパンジーから取り出し,バラに導入して育成したものです),赤紫はシアニジン,桃色はペラルゴニジンと言われます。このために,トルコギキョウの紫色の発色は素晴らしいのですが,赤色系は紫がかっており,どうしても蛍光灯の下では紅色の発色が劣ります。

もう一つは,黄色の色素であり,フラボノイド(フラボン,フラボノール)とカロチノイドです。フラボノイドは水溶性の色素で淡黄色です。カロチノイド系は油溶性であり,濃黄色の色素です。トルコギキョウにはカロチノイドが含まれている品種があり,将来,濃黄色のトルコギキョウが育成され,さらに濃黄色地に青覆輪,あるいは赤覆輪の華やかな品種が出現するはずです。また,カロチノイドが多く含まれる品種にアントシアニン系色素の赤色品種を交配し,両者が共存できるようになると,蛍光灯の下でも鮮紅色に発色する品種が出現するでしょう。

ところで,島根県の山中で,トルコギキョウの品種改良を行っている別木さんという天才がいることを紹介します。彼の品種は写真のように,赤色の発色がすばらしく,小輪で多花性です。なお,赤色花弁の細胞中に存在する色素を,デジタル実体顕微鏡で撮影することができしましたので,併せて紹介します。

IWAD環境福祉専門学校
 みどりの環境学科
教授  勝谷 範敏

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紅色品種の改良

トルコキキョウ