皆様 こんにちは。前回は、やっと桜の声が・・・とお伝えしましたが、巷は桜吹雪になりました。長い冬から待ち焦がれていた「桜」。あっと言う間の出来事です。いよいよ春爛漫です!
先だって迄高校野球・国会中継を続き、今回4月11日より番組の新年度が始まりました。新年度初回は、「アリアム」をご紹介します。
アリアムはネギ科の植物です。ネギ独特の臭を持ちます。「Allium」はラテン語のニンニクのことです。原産はヨーロッパ、アジア、北アフリカ、北アメリカに分布しています。そのうちあまりネギ臭のしにくい約40種から栽培されているものです。代表的なものに「ギガンジューム」と言う大きなものがありますが、今回は「丹頂アリアム」を始めとする小型のものを紹介します。
此方は熊本から出荷されていますが、直立するものから曲げを作り出し出荷されています。この曲げ方は新技術で、実用新案申請済だそうです。と言うことで、ある意味ハンドメイドで同じものは無いと言っても過言ではないかと思います。
現在出荷されているものは、「踊る丹頂」・「グリーンベリー」・「スネークボール」と「ブルーパフューム」です。「踊る丹頂」は、花の先端が赤くなり丹頂鶴に似ている所からネーミングされています。曲がりも加え、丹頂鶴が躍っているように見えます。「グリーンベリー」は、花の部分が緑で果物(実物)をイメージします。それに曲を合わせたものです。「スネークボール」も同様で、曲げを全て手作業で行い、お洒落な曲げを作り出しています。花自体の大きさを最小に抑え、美しい曲線を強調しています。
美しい物には棘があると言いますが、面白い曲線には臭いが・・・。然し、この臭いも少し緩和できます。実は出荷の時に花茎に葉を切り取ったものが付いています。この部分を取り除くことにより、少しネギ臭が緩和できます。水に浸けた時に腐敗の原因にもなります。切り口からは臭いがしますが、水に浸けることによりそれがなくなります。是非お試しください。なかなか長持ちをします。
曲線を有効に使って少し変わった楽しいアレンジを行ってみてください。つい私たちは、線をいけるのは・・・と思われます。作られた線の組み合わせもまた素敵です。
2012年4月15日
皆様 こんにちは。 いよいよ春ですね。普段に比べると若干気温が低いようですが、甲子園からは若さの熱気が伝わってきます。また各地から「桜」の声も聞かれ始めました。毎水曜日、季節の花情報をお届けしているNHK広島放送局の「ひろもり」も2週間お休みをいただき、新しいキャスターを迎えて新年度スタートです。
然し、この時期は沢山の花に会えます。広島の中央市場花き部では、切り花・鉢花・植木を扱っています。一年の4回程「植木大市」も開催されます。その中で一番季節感を未だ持っているのが「植木」です。切り花では見ることが出来ない「花木」が様々出荷され、私たちの目を潤してくれます。
私が個人的に好きなのは「鶯神楽」(ウグイスカグラ)です。転訛して「ウグイスカズラ」となったとも言われています。スイカズラ科の植物ですが、カズラ(蔓)ではありません。
日本原産です。広く北海道から四国、九州に自生します。どちらかと言うと、日当たりを好み、太平洋沿岸に多く分布します。花は4月~5月に咲き、6月に熟し液果で赤い実を付けます。樹高は1,5m~3mとなり、ご家庭で楽しめる大きさです。同じ仲間にヒョウタンボクと言うのがあります。ヒョウタンのような実が付きます。この実は有毒なので、間違わないように気を付けてください。
ウグイスカグラの名前の由来ですが、鶯の鳴く頃に花が咲きます。カグラは、「鶯隠れ」が転訛したものだとも言われています。また、花の蜜を鶯が吸う姿が、まるで神楽を舞っているように見えるからかも知れません。鶯に関わり合いの深い植物かもしれません。
突然ですが、北海道に旅行をされたことがおありでしょうか?沢山美味しい食べ物があります。その中に「ハスカップ」と言う木の実があります。実はこれは「クロミノウグイスカズラ」なのです。意外なところで会うことが出来ます。また語源もアイヌ語のハシカブから来ているそうです。ラテン文字表記で「HASKAOP」と表します。HAS(ハシ)は枝、KA(カ)は表面、O(オ)は実る、P(ブ)はものを表し、「枝の表面に実るもの」意味するそうです。不老長寿の秘薬としても有名ですね!私も試しに食してみようかと思っています!?
それはさて置き、茶花としても「鶯神楽」はよく使われます。可憐なピンクの花を付け、茶室にはうってつけの花です。侘び寂びを表現するに相応しい色合いの花です。名前の由来も良いのかもしれません。
茶花の中には、私達とはあまり接点のない花が多く有ります。然し、400~500年くらい前には人々の周りに自然にあった花なのです。現在、様々な活動で山林を整備し、自然を取り戻すことを行っておられます。手を掛けることで、以前の里山を取り戻して、多くの花々が身近な花になるのはいつのことなのでしょうか?楽しみに長生きをしたいと思います。(児玉)
2012年4月4日
皆様 こんにちは。 一年は早いものですね。日本の各地で鎮魂の一年を過ごされたことと存じます。未曽有の出来事が起き、未だ行方の知れない方々も多くいらっしゃり、御親族の方々には御心痛の日々をお過ごしとお察しいたします。
然し、季節は移り、また春が巡って参りました。この時期には、情報で桜の開花予報が流れてきます。最近の寒さで若干遅れ気味ですが、早い所では3月下旬から咲き始め、一気に日本を駆け巡ります。日本の代表的な花木として、古の頃から私たちの周りにあります。農耕民族の私達とっては、季節の時計として欠くべからざる植物なのです。桜に限ったことではないのですが、田植えの季節を知るうえではとても大切な花木なのです。
その桜を見る事を楽しみに、毎年この時期は心が躍ります。やっと来た春を謳歌したいと思うのです。私事で恐縮ですあが、昨今は年と共にフットワークがきかなくなり、気が付くといつの間にか桜が散っています。そんな私に最適なのが「八重桜」です。
通常の桜に比べ、開花が約2週間遅く、如何な私でも「花見」が出来ます。八重桜は総称して「里桜」と呼ばれます。概ね私達人間によって品種改良されたものなのです。花弁の数が魅力で、金沢の兼六園には「兼六園菊桜」と言う品種があります。この桜は花弁が多く、約300枚の花弁を持つと言われています。圧巻です!また、大阪と広島の造幣局には、桜の並木通りがあります。広島の造幣局は、八重桜が植樹されており、50種以上の品種が230本近くあります。季節になると多くの市民の目を和ませてくれます。
珍し品種としては、「オオテマリ」・「ベニオオテマリ」があり、来場者の皆様の目を引いています。また、黄緑の花を持つ「ウコン」・「ギョイコウ」と言う品種もあり、一見の価値があります。今年は寒さの影響で、4月中旬の開催としかお伝え出来ないと造幣局の方がおっしゃっておられました。是非時間を見つけて、八重桜の宴をお楽しみください。
私達が思っている以上に、バラ科の桜はデリケートなものです。植樹されている桜は、根元を踏まないようにと言われます。根の発育には良くない様です。また切り花の場合は、沢山の花を咲かせなければならず、より多くの水分が必要になってきます。表皮を剥いだり、切り口を十文字に切ったりすることにより、より多くのの水分を吸い上げ、花をたっぷり咲かせてくれます。お花見も家庭で楽しめます。
日本を代表する「桜木」を、存分にお楽しみください!!(児玉)
2012年3月17日
皆様 こんにちは。今週になり、少し春らしさを感じる日がありますが、まだ春はもう少しさきのようですね。今週、来週辺りは三寒四温の様相を呈してくるようです。そんな中、今週は「スズラン」をご紹介しましょう。
ユリ科の植物です。キミカゲソウ(君影草)と言う別名があります。中部地方以北の本州、北海道、またアジア北部に分布します。白い小さな花を5~10個付け下向きに咲きます。今、私たちがよく見る「スズラン」はドイツスズランです。前述のスズランより、ドイツスズランは花が大きめで、芳香が強く、葉は丸みを帯びています。
私達の生活の場所「広島」にもスズランは定着しています。毎年5月に、ANAの客室乗務員が、市内の施設に「スズラン」を届けてくださいます。それをニュースで見ると、今年も「スズラン」の季節だなと思います。私共には香りは届きませんが、受け取られた人の香りに魅せられて表情は、画面から察することが出来ます。
白い小さな花、下向きに咲いていても存在感があります。そんな「スズラン」は、男性が花束にしても恥ずかしくない「花」の一つだと思います。バレンタインのみならず、ホワイトデーにも相応しいと思います。
管理は、至って簡単です。今回出荷されているスズランは、根のついている状態です。飾る時、少しだけ根をまっすぐにカットして水につけてください。従来の花の寿命が約倍に伸びます。一度お試しください。上手くすると、花が終わった後、鉢植えになるかも?
今回は、赤いニューサイランと合わせて、アレンジを行ってみました。ニューサイランの強さが、スズランの優しさをより強調してくれています。か弱きものには、か弱きものをとも思いましたが、か弱きものに強きものを取り合わせてみました。互いの個性を引き出す効果的な方法です。
植物の多くは毒を持っています。「スズラン」もその例外ではありません。根には毒性があります。呉々も気を付けてください。
でも「スズラン」の花の美しさには敵いません。季を楽しませてくれる様々な花、私たちに心のゆとりを与えてくれる大切なパートーナーです!(児玉)
2012年3月15日
皆様 こんにちは。雨水も過ぎ、間もなく啓蟄を迎える頃となりました。早いものですね。もう三月になろうとしています。一月は行く、二月は逃げる、三月は去ると言われていますが、まさにその通りですね。年を取ると余計にそれを感じます。困ったものです。まだやりたいことが山ほどあるのですが!
先週は、広島花の祭典が開催されました。お陰様を持ちまして、盛会の裡に終わることが出来ました。花の多さに来場者の感嘆の声も頂き、ひと時を「花」で和んで頂けたかと思います。お忙しい中ご来場頂きまして誠に有難うございます。今後も「花」との時間を皆様にご提供できるように頑張って参ります。今後ともよろしくお願いします。
今週は、橙色の可愛い花「サンダースソニア」を紹介します。ユリ科の植物なのですが、とても花の表情が素敵です。釣鐘状に花を付けます。南アフリカが原産と言われ、一種からなる花です。1851年に発見され、発見者の名サンダースを頂き、「サンダースソニア」と命名されたようです。花持ちは約1週間です。地植えの場合、花数が多いため(9輪から10輪)徐々に下のほうから咲いてきます。そのため、全体では約一か月と言う長期に花が楽しめます。
原産地の南アフリカあたりでは、12月(クリスマスあたり)に咲くため、「クリスマス・ベル」と呼ばれています。「チャイニーズ・ランタン」の別名もあります。花の特徴を良く掴んだ命名です。
続いて「リューココリーネ」をご紹介しましょう。この花は、南米チリのアンデス山脈原産です。ムラサキ色のシックな色合いと芳香を持ち、中々の人気です。50種位の野生種が存在しているそうです。
花会等に伺うと、何気に美しく比率的には多く活けられています。軸は細く、一見弱々しそうな花ですがかなり丈夫です。実際に接してみないと判らないことがあります。たまたま私はいけばなを習っております。其の為、花に触る機会が多く、その素性を活かして花を立てます。外見ではわからないことも多く有ります。そんなところを理解しながら、花を紹介できれば良いな思っています。
今からも、多くの花に出会うと思います。馴染の深い花、薄い花、初めての出会う花、様々だと思います。馴染の花には、より詳しく接してみたいと思います。また、初めて出会う花には、その花の美しさを見出し、素性を探りながら、美しさを見出していきたいと思います。
花の美しさを見出せるように、心にゆとりを持ち生きていきたいものです。(児玉)
2012年3月2日
皆様 こんにちは。今度は、国会中継で番組がお休みになり、お花の紹介は出来ません。然し、今週から広島の花き業界挙って行う「広島花の祭典」をご紹介します。
今回で58回を数える歴史ある催しで、生産者・売店・卸の三業態の組合が協力して開催しております。今回は、大河ドラマで御馴染みの「平清盛」にスポットを当て、花で表現をして見ました。
広島には、平清盛に所縁のある厳島神社や日招き伝説のある音戸の瀬戸等があります。その中で、厳島・弥山に咲く桜をバックに社殿を配し、平安の花見をイメージしてみました。敬翁桜のトンネルを潜りつつ、その奥に八重桜を透かして見ることが出来ます。トンネルの出口には八重桜が咲き、会場内での撮影スポットになっています。
それを抜けると、スイトピーやバラを使って宮島全体を作り挙げています。圧巻です!
また、この花の祭典は、農林水産大臣賞を頂く品評会を催しています。一般公開で、これだけの品種の揃う品評会はなかなか広島では見ることが出来ません。バラを始め出品されている花は、全国的にもレベルが高く素晴らしい花々が出品されます。切り花・鉢物、皆様の目を潤すこと間違いないと思います。
それに匹敵するものがあと2つあります。最初は、青い花のコーナーです。サントリーフラワーズの開発した「青いカーネーション」・「青いバラ」、そして昨年公開された「青いシクラメン」です。本来これらの植物には青い色素がもともとありませんでしたが、開発の結果実現できました。一昨年、「青いバラ・・・アプローズ」は、日本での一般初公開は実はこの「広島花の祭典」だったのです!!そんなご縁で今回は、「青いシクラメン」を中心にディスプレイを、花卉商(花屋さんの組合)の若手の方々にお願いしました。色彩的には地味ですが、シックでなかなかイケてます!
もう一つは、「変わり花」として、菊・バラ・チューリップの吸い上げの染花です。一本の花が、何色にも染まり得も言われぬ色彩です。これは、植物の導管(水を吸い上げる管)を利用したものです。鮮やかな色彩をお楽しみください。
他にも催しが沢山あります。体験型のコーナーとして、「寄せ植え体験コーナー」・「いけばな体験コーナー」・「フラワーアレンジ体験コーナー」があります。皆様が参加され、見るだけではなく自分で行う、要は植物と接するコーナーです。先生方が、とても親切に教えてくださいます。是非チャレンジしてみてください!
花屋さんのフラワーアレンジコンテストも同時に開催されています。広島の花屋さん達が、日頃の技術の研鑽を発表する場所です。私もこんな素敵なアレンジを頂きたいと思います。
いけばなの流派の先生方にもご協力いただいております。8つの流派の先生の力作が並び、皆様から感嘆の声を聴きました。また、流派を越えた「いけばなインターナショナル」の先生方にもご協力頂き、素晴らしい作品をいけて頂きました。
即売会場もあります。イキイキした鉢物・切り花。鮮度が売りです。日頃見ない珍しい花も取り揃えてございます。なかなか盛況です。お早目にご来場ください。
まだまだ盛り沢山です。是非皆様挙ってお出でください。お待ちしております。
会場は、広島市南区
㈱福屋 駅前店 6F・8F・9F
会期は、2月23日~2月28日迄です。時間は毎日、10:00~20:00迄です。
毎日、先着100名様にお花のプレゼントがあります。会場では、クイズもあります。皆様チャレンジしてみてください。
会場でお待ちしております!!(児玉)
2012年2月25日
皆様 こんにちは。
春の季を知らせる「雨水」を迎えました。早いものです。然し、まだまだ寒く、今朝は広島も薄氷が張っていました。今回は、春を晴れやかに過ごしたいと思い、「グロリオサ」を紹介します。
ユリ科の植物で、原産はアフリカ及び熱帯アジアです。別名を「ユリグルマ」・「キツネユリ」と言います。
グロリオサは、葉の先が巻ひげ状になっており、他の植物に絡み伸びていきます。高さ3mにもなることがあります。花の色が鮮やかで、赤またはオレンジです。黄色の品種もあり、また外弁と中弁の色の違うものもあります。花は下向きに咲きますが、花弁が反り返り珍しい咲き方をします。
花の色と花弁の形から、英語では「Glory Lily」(栄光のユリ)とか「Flame Lily」(炎のユリ)と呼ばれています。アフリカでは、この花を国花にしている国もあるようです。
なかなか印象的な色と花形を持つことから、花会あたりではよく見る花です。私も何度か活けてみましたが、主役に相応しい花です。
管理は簡単で、水切りで十分ですが、花粉が問題になります。ユリ科の植物と言うことで、花粉が細かく衣服や手などによく付きます。つい私たちは、その花粉を擦ってしまいますが、それは禁物です。出来れば粘着テープで抑えれば、簡単にしっかり取れます。是非試して見てください。
それともう一つ、蕾です。色々な花は蕾が咲きにくいものですが、色は薄くなりますが先まで咲いてくれます。ある意味お得感があります。切り口を新鮮にして頂くと、より咲きやすいのです。
まだまだ寒い日が続きますが、温かみのある色彩の花を飾って、いち早い春を感じてください。
さて、来週2月23日から2月28日まで、第58回広島花の祭典が始まります。会場は、広島市南区の「福屋 広島駅前店」です。今回は、大河ドラマ「平清盛」を題材にします。広島にもとても所縁があり、「厳島神社」・「音戸の日招き逸話」等様々あります。その「平清盛」を花で飾り、武家の清盛、貴族の清盛をイメージして行います。また、青い花のコーナー、変わり花のコーナー、体験コーナー等様々な企画で、皆様をお待ちしております。是非ご来場頂き、花の香りの中でひと時を楽しんでください。
2012年2月19日
いよいよバレンタインが近づいてきました。今週は、チョコレートの香りがする「チョコレートコスモス」をご紹介しましょう。
この植物はメキシコ原産で、標高2000m位に生育したそうです。どちらかと言うと「礫地」に生育していました。玉サボテンの間に突然咲くような感じだったそうです。優しい花からは想像できません。実はこの花は、定かなことは解りませんが、原産地メキシコでは絶滅しているようです。現在流通しているチョコレートコスモスは、ヨーロッパで挿し芽、球根で育成したものです。ですから、当然親株は一つしかなく、全世界に流通しているものは皆一族です。とても増殖力が弱く、同一個体内での自家受粉は出来ず、他家受粉のみで種を作るそうです。然し、現在ではそれも無理な状況のようです。
この花は、香りが良く、嗅いでみるとチョコレートの香りが若干します。色といい、香りといい、バレンタインには最適かと思います。然し強敵がいました。それはダリアです。イギリスの王宮植物園にある「メキシカン ブラック」と言う品種のものです。これもチョコレートの香りがするそうです。一般に市販されているようですが、花より香りを楽しむような品種です。
然し、このチョレートコスモスは、アレンジにいけばなに最適です。花はもちろん、花茎もしなやかで、とても表情が美しいのです。私も一度、京都の池坊の花会にいけたことがあります。自己満足ですが、なかなかイケてました。
昨今様々な花が私たちの周りにあります。色々な花をいけて、どんどんチャレンジしてみたいです。意外な花の一面に会えるかもしれません。
お知らせです!!
今週2月11日(土) 12:00~
広島市中区本通 金座街 広島パルコ入口付近 で「フラワーバレンタイン」の催しを行います。
先着3000名様に、可愛い花束のプレゼントを行います。是非この機会に、男性の方、奥様、彼女にお花のプレゼントをなさっては如何ですか?
尚、なくなり次第終了させて頂きます。ご了承ください。(児玉)
2012年2月10日
皆様こんにちは。早いもので、もう2月になってしまいました。また、最近は冷え込みが強く朝晩がつらい時もあります。
2月は、花き業界には大切な催し物があります。2月14日の「フラワーバレンタイン」です。日本にはバレンタインの日本版があり、女性が男性にチョコレートを贈り、愛を告白するというものです。女性から男性へ一方的な愛の告白です。この習慣は、消費拡大を願う業界の商法から始まったようです。昭和50年代前半から始まったようです。
諸外国では、男女を問わず恋人や親しい人に贈り物をする日であったようです。本来は、花やケーキ、カードが贈り物でした。19世紀後半イギリスでチョコレートを贈る習慣が起こったようです。
このバレンタインの起りは古く、ローマ帝国の時代に遡ります。女神ユノ(全ての神の女王、家庭と結婚の神)の祭事が2月14日で、その祭りの中で娘が名を書き、それを男子が引き、祭りの最中はパートナーになることが定められていました。その後多くのカップルが恋に落ちたそうです。また、ローマ皇帝クラウディウス2世の時代、兵士の婚姻が禁止されていました。その禁を破り、キリスト教司教のウァレンティヌスが密かに婚姻させていました。その罪でウァレンティヌスが捕まり処刑された、ユノの祝日、その日が2月14日でした。それが縁で、恋人の日になりました。これがバレンタインディーの始まりです。
私共花き業界が挙って、2月14日には男性から女性に花を贈る活動を行います。当然、広島でもその催しを行います。2月11日(土)12:00~14:00 中区本通 金座街広島パルコ入口付近で花束の無料配布を行います!是非男性の方々いらしてください!!お待ちしております。
男性が花束を持って歩くことには抵抗があるかもしれません。私自身も以前はかなり照れくさく、やっと最近持ち歩くことにかなり抵抗がなくなりました。若干の抵抗があり花ばかりだと恥ずかしいと思い、最近は葉物や枝物を取り入れて花束を作って頂きます。今回は、コデマリと月桃の葉をバラと合わせて作ってみました。
女性が花を頂くことにはいやと言うことはあまり聞きません。むしろ喜んで頂けると思います。近いうちに男性が花束を持って闊歩して、女性に花をプレゼントする日を多く見ることが出来ることを期待しております。美しい女性に、美しい花を!!(児玉)
2012年2月1日
皆様 こんにちは。早いもので睦月も中旬も過ぎ、大寒も目の前になってきました。然し、市場はもう春の花で一杯になっています。ラッパ水仙、菜の花、チューリップ等、春を代表する花のオンパレードです。皆様も御存じの通り、花のみに限らず花木にも「蒸かし物」として春の魁で出荷されているものが多く有ります。桃・レンギョ・サンシュユ等ですが、その中に「桜」があります。今週は「桜」をご紹介したいと思います。
今現在、市場には東北から「啓翁桜」が出荷されています。この啓翁桜は、花の色がとても美しいものです。何故寒い東北でと思われるでしょう。それは、木々の持つ素性を活かしたものなのです。東北の秋は早く、植物にとっては休眠の時期に当たります。その時期から美しい花を咲かせる春への準備を始めるのです。暖かい地方に比べると、より早く来春の花への準備を始めているのです。私たちは、これを「寒に会う」と言っています。
そのため、早くにハウスに入れ蒸かしても美しく開花してくれるのです。「寒」に会う時間もある程度必要になってきます。それと保温の温度の設定も必要になります。それは生産をされている方々の研讃の結果だと思います。
桜自体、非常に多くの品種があります。自然交配することでも知られています。実はこの「啓翁桜」ですが、品種改良された物です。支那桜桃と彼岸桜の交配です。ですから、枝も直ぐやかに伸び、形の美しいものです。その名前は、この桜の傑出者の名前からのようです。その素性から、アレンジや御稽古花に人気があり、また装飾の花にも人気があります。本来桜は大らかに大木になります。寿命も長いものが多く、各地に樹齢を誇るものがあります。枝垂桜や彼岸桜等、皆様方の周りにもあろうかと思います。春になると私達を夢の世界に誘ってくれます。夙に有名な「染井吉野」もその代表格です。然し、この染井吉野の歴史は然程古くありません。江戸時代末期から明治初期に江戸彼岸桜と大島桜を交配した桜です。その後花の見事さで全国的に拡がったものです。通常の桜は、結実し種を残すことにより種を絶やすことなく現在に至っていますが、染井吉野は結実することがなく、人手による接ぎ木により現在に至っています。不思議なものですね!私達の周りには、まだまだ多くの知らざれる事が沢山あります。そんなことも考えながら、植物を紹介できればと思います。(児玉)
2012年1月24日
皆様 あけましておめでとうございます。今年もこのコーナー、不定期ながら続けて参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
昨年は、未曽有の災害が起きました。この災害で命を落とされた方も数知れず、様々な方に被害が及びました。亡くなられた方々のご冥福を祈ります。然し、被害を受けられた方々の復興に掛ける意気込み等、元気な声がマスコミから聞こえてくるととても嬉しく思います。
今回は「葉ボタン」をご紹介したいと思います。ハボタンと言う名で皆様方に親しまれていますが、何故?と思います。それは名前の由来から来ています。葉の様子がボタンの花に似ているからだそうです。日本人は名前つけるのが上手いと思います。
葉ボタンは、アブラナ科の植物です。要は、キャベツ・ブロッコリーと同じ仲間です。よくよく見ると・・・。ちょっと硬いかもしれませんが・・・。
葉ボタンの歴史も古く、江戸時代の貝原益軒の書物にも記されており、私達には馴染の深い植物です。江戸中期に様々な植物が品種改良され始めた中の一つのようです。渡来の時期は、鎌倉中期または江戸時代初期と言われています。
今回は、その葉ボタンを使ってアレンジをして見ました。最近は、吸い上げの色付きの葉牡丹も多く出荷せれており、既存のイメージを一新する葉ボタンもあります。是非一度アレンジに使って見てください。
一年は早いものです。夏から書きはじめ、あっという間に年の暮です。一年間、様々な花に出会い、様々な花を活けてきました。最近は心の余裕がなく、花と話が出来なく少し寂しい思いをしています。冒頭にも書きましたが、来年こそは、美しい花がより美しく見えるような心のゆとりを持ちたいものだと思っています。(児玉)
2012年1月3日
皆様 こんにちは。週間天気予報では、全国的な冷え込みが予想されています。巷では、インフルエンザの流行の兆しが報じられてもいます。皆様、呉々も風邪を召されませんようお気をつけください。やはり、手洗いと嗽ですね。然し、植物は其の術を持ちません。以前より山を見渡すと処々に立ち枯れの木々を見ます。特に近年は、様々な環境の変化や私共人間が排出するガス等により、より植物の生育環境の劣化が見受けられます。
広島は、以前は「松茸の産地」とした全国に名をはせていました。最近は、収穫の表年、裏年はあるものの、以前に比べると収穫量が落ちているようです。山の維持管理も然り、病害虫の影響もあります。
然し、「松」は私達日本人にとってはシンボルツリーなのです。古く太古の時代から、松は神々が降り立つ場所として信仰の対象とされました。名前の由来も、神が降り立つのを「まつ」に由来するとも言われています。常緑でもあることから、いつまでも変わらない緑葉ということで、いつまでも元気で長寿の意味をも持ちます。また、混乱期の折には、燃料とした私たちを支えてきました。そんな「松」は、切り花、造園の世界では切っても切り離せないものでもあります。
いけばなの世界では、三木(松・檜・伊吹)であり、その頂点を極めている。前述の如く、常緑で縁起が良く、手に入り易い花材であったのです。(現在はかなり難しくなりました。)と言うことは、私たちの身近に如何に多く有ったかということです。実際いけばなに使ってみると、作品が締まってくるのです。
先日、恒例の正月用「松市」が催されました。今年は様々な出来事がありましたが、お陰様で活況のうちに終わることが出来ました。その中で一番扱いが多いのは「若松」です。
広島には、兵庫・愛媛・茨城等松の産地から入荷いたしました。この若松、出荷までに約3~4年を要します。その他の松は、それ以上の年数を要します。
縁起を担ぐ松ですが、松脂がついてなかなか厄介です。然し、簡単に取れる方法もあります。それは微温湯です。暫くつけて、固形石鹸で洗うと簡単に取れます。私も松を活けていると、この松脂に泣かされます。少し気を付けて行うと大丈夫です。嫌がらずに、今年は松のアレンジに挑戦してください。参考までにアレンジをして見ました。松は小さく使いましたが、最近は寿松と言って短い葉の松もあります。様々な松も沢山出回っています。お好みの松を探して見てください。
2011年12月10日
皆様 こんにちは。早いもので師走に入りました。年々冬の気温が高くなっているようですが、季節を察知して営みを繰り返す植物達は、私たちに着実に冬の訪れを知らせてくれます。そのような花々の中で、冬の女王をご紹介しましょう。
「陰の花、水仙に限る。」と言われ、花木の全盛の時期の草花は「水仙」を於いて他にありません。現在は、栽培技術の驚異的な躍進のお陰で、私たちは年中様々な花を見ることが出来ます。冬でも、春の花や夏の花が生産されて、私達の目を和ましてくれます。心の癒しになっています。然し、季を重んじ、当季にのみその美しさを見せる花も沢山あります。私達も、美味しい食物を頂きますが、旬に頂くのが一番美味しいと思います。珍しさのみを追求することも必要なのかもしれませんが、花も当季に見る美しさは格別と思います。
日本水仙として各地で親しまれていますが、原産地はどこなのでしょう?日本と名が付いていますので、つい日本と思ってしまいますが、実は遥か地中海沿岸が原産なのです。様々な文物と同じようにシルクロードを経て、中国に辿り着いたようです。それから海を漂い日本に漂着したようです。日本海側に自生地が多いのはそう言う理由です。
花葉も美しく、花弁は白く、内側の3枚は萼の変化したものです。葉は、直ぐやかに伸び、冬の寒さに凛と佇む姿は「真」の形相を呈しています。いけばなの世界でも、一種類でいけることを許された格の高い花として扱われています。
花の美しばかりではありません。馥郁たるを放ち、私たちを魅了してくれます。この時期、ついこの香に魅かれ、暫し手を止めることがあります。また、姿も素晴らしく、直ぐく伸びあがる葉、その中央に咲く可憐な花。水に映し出されて仙人の姿と見紛うようです。(水仙の名前の由来と言われる。)冬の寒さに耐え、命の強さを感じます。
水仙は、なかなかうまく活けることが出来ません。いけばなの世界も同じで、松、水仙、杜若が上手く活けられれば・・・と言われています。私共が家庭でいけるにも、花瓶に挿すと花瓶の底まで落ち、なかなか格好にならないものです。そんな水仙を身近でアレンジできると良いといつも思います。そんな思いをアレンジにして見ました。給水性スポンジに挿すときに一工夫です。花は茎の中心部が空洞になっており、スポンジに挿し難いため、あらかじめ竹串か楊枝を挿したい角度に挿して於き、そこへ花を挿し少しスポンジにも入れます。葉も同じ要領で、楊枝か針金を使うと良いと思います。
「冬の花」は水仙に限ります。今年は是非試みてください。香りと姿をご堪能ください。
2011年12月5日
皆様 こんにちは。冬を呈する頃となりましたが、年々寒さが薄れるようにも思えます。
この時期に似合う色があります。寒さを感じるかと思いますが、「ムラサキ」が心を引き締めてくれます。ムラサキ色の花は数々ありますが、今回は「バンダ」をご紹介したいと思っています。
ラン科の植物は沢山あります。世界には700属5000種が認められています。そのうち日本には75属230種あります。ランは、美しさの代表のように言われ、実際美しい花が多いのです。そのため採取され、絶滅に瀕する種も多くあります。すべての花は、自然に咲いているからこそ美しいのです。ラン自体は、南極を除く全ての大陸の温帯から亜寒帯に自生しています。裸子植物の中では、一番最後に地球上に現れた植物です。その為、それまでに誕生していた植物に良い環境を占領されてしまいました。ランは、その残った過酷な環境で生息することになったのです。実際ランの生育環境は、ある意味過酷な暑さや湿気の中にあります。
「バンダ」は、ムラサキ・ピンク・黄と色が鮮やかに咲く花です。東南アジアに自生し、約60種が知られています。多くは樹木に着生する着生植物です。ランの中でも耐寒性が強い種類ですが、5℃は必要です。また多くのランは塊茎を持っていますが、「バンダ」はそれを持っていません。
この4~5年、よく「花会」で見かけます。その鮮やかな色合いは、作品にインパクトを与え、観客の方々を魅了しています。幾つもの作品に使用されていますが、ムラサキの持つ神秘的な色に敵うものはない様です。
今回は、モミジとバンダを合わせてアレンジをして見ました。色彩的にはかなり際どい取り合わせですが、意外に美しく鮮やかでした。今後も色々なチャレンジを行ってみたいと思います。
2011年12月5日
皆様 こんにちは。11月も半ばを迎え、木々の色も変わり季節の移ろいを感じる頃になりました。然し、例年に比べると紅葉の鮮やかさが・・・・・。その紅葉が終わると、木々は寒々として、目につき始めるのが蔓(かずら)です。この蔓、なかなか厄介なもので、他の植物に絡みつき木々を枯らすこともあります。そんな蔓物も私達の生活に密着しています。
蔓が全てではありませんが、皆様よく御存じの「唐草文様」は蔓をベースにしています。「唐草」は、古くメソポタミアやエジプトにその原型を見ることが出来ます。つい「唐草」と言う字を見ると、古く中国から発した文様の如く思ってしまいます。多くのものが伝わって来たのと同じように、シルクロードを経てやって来ました。
欧州では、「アラベスク」として親しまれています。「唐草」には、ロータス・パルメット・アカンサス等あります。その他の多くの植物を取り込み、唐草文様を創りあげています。唐草文様になった植物以外のものもそうですが、その生命力の強さに「繁栄」を当て嵌め、身近にそのデザイン化した文様を於いたのです。
それをより身近に、簡略化していったのが日本人なのです。主な種類に、「蔦」・「忍冬」・「葡萄」、仏教の影響もあり「蓮」・「水蓮」等があります。少し変わったところでは、マツボックリ・ユリの花・月桂樹の葉もあります。
その中で、「忍冬(スイカズラ)」について少しお話してみましょう。スイカズラの名前の由来は「吸い葛」に由来し、花を咥えて甘い蜜を吸っていたことに始まります。砂糖のない日本では、砂糖代わりに使用したとも言われています。英名のHaneysuckle(ハニーサックル)がそれを表しています。他にも利尿・鎮痙に薬効があり、かなり日本人には身近な植物だったようです。
普段何の気なしに接している植物ですが、私達にはとても重要な且つ身近なものなのです。そのような植物をより身近に置き、文様化していった人々。植物の大切さを感じているからこそのことだと思います。私達現代人も、もう一度周りの植物に目を向けてみたいものです。(児玉)
2011年11月16日
皆様 こんにちは。10月31日に感謝祭を迎え、いよいよ11月に突入です。最近よく思うことがあります。年々歳々1年が早く過ぎていくような気がします。特にこの一、二年よく感じます。やはり年ですかね?
さて、今回は「カボチャ」をご紹介します。市場には早くから出回っています。とても大きいものから小さなものまで、形も種々様々なものまで枚挙暇がありません。一つ一つ見てみると、なかなか愛嬌のあるものです。
このかぼちゃは、本来飼料用に栽培されているものです。オレンジ色のものが主流です。私たちが食べる「南京」はとても表皮が固く、煮物にする時怪我をしそうになります。然し、このカボチャは少し柔らかいような気がします。実際カービングしてみると、わりに細工しやすいものです。不器用な私でも簡単に細工出来ました。
現在栽培されているカボチャは、大きく分けて3種類あるそうです。「西洋カボチャ」・「東洋カボチャ」・「ペポカボチャ」です。感謝祭に使うカボチャは、ペポカボチャだそうです。ズッキーニも同種とのことです。
感謝祭(ハロウィン)は、もともとヨーロッパを起源とし、ケルト人の行う収穫感謝祭が広まったもののようです。またある意味、日本のお盆のような行事も含まれているようです。日本に入ってきたのは定かではありませんが、秋の行事として行われるようになったのは、2000年以降だそうです。その後徐々に浸透して行き、現在に至っています。愛らしいランタンが印象的で、人気を博しています!
今回はそのカボチャを、花器に見立て、赤いグロリオーサをランタンの明かりに例えてアレンジをして見ました。カボチャはどっしりしており、花器としても使えます。花の美しさは、様々なものに例えることが出来るような気がします。私も、花の美しさに習い、心美しく生きていきたいものです。(児玉)
2011年10月31日
皆様 こんにちは。久しぶりに何事もない日々が続いているような気がします。季節の巡りも早く、広島の地にもマツタケの声をちらほら聞く候になって参りました。
さて、今回は「カーネーション」にスポットを当ててみましょう。この時期に何故と思われる方もいらっしゃるかと思われますが、実はNHKの朝の連続テレビ小説つながりでのご紹介です。花言葉は、「情熱」・「母の愛情」と言われています。間違えなく「赤」のカーネーションには情熱を感じます。
カーネーションは、江戸時代初期以前に渡来しました。当初はなかなか日本に(日本人)馴染まなく、寛文年間の四代将軍家綱の時代に再渡来して根付いたようです。当初は「アンジャ」(蘭)と呼ばれたようです。とても鮮やかな花だったのでしょうね。
カーネーションの語源は、CORONA(冠)に由来するそうです。花の形が似ているからという説が有力なのです。ナデシコの総称「ダイアンサス」は、「神の花」という意味があるそうです。また花の色から、肉の色を連想したとも言われています。17世紀のイギリス、オランダでは、既に300種以上の品種があったと言われています。
母の日だけに尊ばれる「赤いカーネーション」。そんなカーネーションにも、歴史があります。
赤いカーネーションとキイチゴでアレンジを作ってみました。意外にも綺麗なのです。意外や意外!!江戸時代の人々が「アンジャ」と名付けた理由がわかるような気がします。私たちは、つい固定観念に捕らわれてしまいます。花の持つ素敵な美しさを忘れがちです。赤いカーネーションを見てそのことを思いました。
「情熱の赤」、先日見たアルゼンチンフラメンコの踊り子を連想しました。いつまでも情熱を持ち、生き続けたいと思います!(児玉)
2011年10月19日
皆様 こんにちは。一週間は早いものです。先週の台風による災害がうその様に思え、急に秋めいてきました。お亡くなりになられた方のご冥福と、被災された方の一日も早い復興を祈念しております。
さて、今週は北海道の「スズバラ」を御紹介したいと思います。
報道ステーションで、スズバラ ローゼ・セテゲラをご覧になった方もいらっしゃると思います。赤い実が鈴成りに多くの実を付けています。秋をイメージするには、とても良い商材と思います。
実はこの「スズバラ」は、北アメリカの生まれです。明治時代に北海道の札幌に根付き、その美しさに惚れた北空知の方が持ち帰り、そして栽培が始まりました。凡そ35年前の話です。栽培条件が合い、年間に約6000本の出荷があり、全国に出荷をされています。
花は、私達が実から想像する以上に可憐です。単弁のピンクの花です。実は直径1,0~1,5cm位の大きさです。私達が普段見ているのは、赤い魅惑的な実だけなのです。さぞ花の時期も奇麗なのでしょうね!然し、美しい物には刺がある!!これが結構痛いのです。気を付けて飾ってくださいね!
最初に「スズバラ」に出会ったときに思ったことがありました。実は奇麗なのに、この枝の太さは!?どういう風に活けると、この「スズバラ」が生かせるのかな?枝ぶりをどう生かそう?かと思いました。結局、素性を活かすことにしました。下手な小細工より、在りのままの方が良いように思えました。何事も自然が一番です。
出荷時期も短く、9月~10月迄であっという間です。毎年使ってみたい花材ですが、たまに気がつくと出荷が終わっています。何度か寂しい思いをしました。 青果、花、一部の鮮魚は、通年で回っており、私達の生活に潤いを与えてくれます。季節を見紛い、何時が旬なのか解らなくなります。全てではありませんが、実物はその時期にその旬を迎え、私達を楽しませてくれます。豊穣の証でもあるように思えます。美しい時期(旬)に、美しく飾り付けることが出来ると良いですね!(児玉)
2011年10月1日
皆様 こんにちは。一難去ってまた一難!昔に比べると、台風の本土縦断が多く大変です。先週一週間の出来事ですが、私たちの想像を超える被害が起きて驚くばかりです。毎時、毎日の情報の大切さが身に沁みます。これ以上の被害が出ないことを祈念します。
さて今週は「コスモス」の紹介です。この時期になると、様々な場所で秋の花の情報が開示され、美しさを競っています。その中でも「コスモス」は群を抜いて多いと思います。
コスモスの原産地はメキシコの高原地帯です。私達が通常コスモスと称しているものは、種としてオオハルシャギクを指します。また「秋桜」とも言われています。桃色、白、赤等の一重の花を咲かせます。舌状花が丸まったものや、八重咲きの品種も作りだされています。
18世紀末に、メキシコからスペインに送られコスモスと名付けられました。その後日本には明治20年頃に渡来したと言われています。栽培自体は、大正時代から始まったようです。オオハルシャギクの他にも黄花コスモス、チョコレートコスモスと有り、秋の風情を醸し出しています。
またこの時期には、様々な場所で「コスモス」をメインに観光施設を飾りつけています。外来種の植物で、これ程日本の秋に馴染んでいる植物もあまりありません。秋の七草に匹敵する群生美を持ちます。
私は、いけばなを習っていますが、この時期の花会が処々で行われます。大きな作品には少し無理なようですが、小さな作品には多くの「コスモス」が生けられています。秋を演出することが容易に可能なことが挙げられます。色・形・風情が秋に相応しく思われます。かよわい花ですが、不思議な存在感を持つ花です。
然し、生態は強く、黄花コスモスはオオハルシャギクを凌駕する繁殖力を持っています。可愛い顔をしていますが、なかなか強かです。
私たちも、ある意味かよわいものですが、コスモスのごとく強かに生き抜いて生きたいものです。(児玉)
2011年9月26日
皆様 こんにちは。台風も過ぎ秋の季にはなって来ましたが、なかなか日本列島は涼しくなりません。沖縄には台風が接近しており、夏の気圧配置が続きそうです。涼風を待ち焦がれる日々です。
さて、今回は「北信州の枝物」を御紹介します。JA北信州みゆきから出荷されているものです。長野県飯山市にあり、長野の中でも北部地域です。圃場自体は、標高300m~800mくらいまでにあるそうです。盆地であるため、気温の日較差を利用して発光の良い素晴らしい商材を作出されています。千曲川を懐に抱き、穂高を望み、広島在住の私にすればBEST VIEWのように思いますが?!
では、一つ一つ紹介をしていきましょう。先ずは「カールグラスウィロー」です。
まさに柳(ウィロー)です。その葉が突然変異でカールしたものを選りすぐり、製品化したものです。別名をメガネヤナギ、勾玉柳とも言われています。最初に見た時は・・・。然し、ゆっくり見てみるととてもひょうきん姿で、何となく使ってみようかという気になりました。
次にフィソカルパス・ディアボロです。バラ科の植物で、和名をテマリシモツケと言います。葉表が赤茶色で、裏が白(薄い緑)です。この時期とてもおしゃれな色合いです。北アメリカ北東部原産で、耐寒性には非常に優れています。葉もほどほどの大きさを持ち、アレンジには最適なような気がします。
最後にウェイゲラです。タニウツギ属で、日本及び朝鮮半島、中国に約10種分布しています。生態も環境に即し易く、平地から2000mくらいの山地まで分布しています。主に日本で種の分化が進んだ様で、概ね7種あるそうです。JA北信州みゆきから出荷されているものは、突然変異の葉の色合いを園芸品種として栽培したものです。
以上の3種類は、枝ものとしての使い方もありますが、私は「葉物」としても使えるような気がします。それ程個性を持った枝もののような気がします。使い方も固定観念に偏らず、色々な角度から植物を見つめると良いと思います。部分の抽出をして見るもの一つだと思います。ある意味「葉物」は部分抽出なのではないかと思います。
なかなか広島にお目見えし難い植物(切花・鉢物)もまだまだ沢山あります。出来る限りそう言う植物を、広島に紹介したいと思っています。その中から、皆様の趣向に合う植物を探しだして頂けるくらいに、広島の市場に花が溢れるよう頑張りたいです。(児玉)
2011年9月16日
皆さん今日は。9月は暦の上では秋ですが、まだまだ残暑厳しい日が続きます。白露、重陽、仲秋、敬老、秋分と季節を告げる暦の節が沢山あります。また、豊穣の季でもありますね。寝苦しい夜とも間もなくお別れです!ところが、何と台風の中四国縦断で、各地で大変な被害が出ています。お亡くなりになられて方のご冥福と、所在の判明されていない方々の一日も早いご無事を祈念しております。御蔭様で、広島は然程影響がなく助かりました。
さて、今回は「栗」を御紹介します。クリは、ブナ科クリ属の総称です。北半球の温暖な地域に広く分布しています。その種子を食用に様々食しています。概ねの種は、とても大きくなるようです。樹高は20m~40mと言われています。古くから私達の身の回りにあり、縄文時代から食糧として食されていたようです。南ヨーロッパも森林地帯では、澱粉の多い種子を小麦粉の代わりに使っていたようです。日本に於いても、カチグリとして乾燥させてクリを利用していました。語呂から縁起も良いとの理由もあるようです。開花時期は6月頃です。クリの語源も面白く、落ちた実が石の様な事から、小石を意味する古語「くり」が転訛したとの事です。
生け花の世界でも、秋を代表する実物の花材です。この時期各処で花会が催されますが、必ず活けられています。なかなか風情がありますよ。枝ぶりを活かして見たり、栗のイガのみを使ってみたりして、作品にアクセントを与えてくれます。
また、木材としても利用されます。クリの木自体とても堅く耐久性が高いのです。どちらかと言うと、高級材に属するようです。耐久性の高さから、風雨に曝される鉄道の枕木に利用されます。同時に薄く剥がし易いことから、屋根葺き用の薄板に使われたそうです。かつては銃床の材料にも使用されました。
食糧としても、この時期欠かせない食材ですね。代表的なのが丹波栗ですね。大阪原産の品種がもともとで銀由、銀善と呼ばれていますが、現在は「銀寄」に統一されたとのことです。これもまた品種改良が進み、健康食品として人気が高いものです。 私達の体にも良く心の癒しにもなる植物がまだまだあるように思います。そんな植物を探して、人生楽しく過ごしたいものです。
2011年9月14日
皆様 こんにちは。先日の台風12号では、甚大な被害が出ました。お亡くなりになられた方、行く方の不明方が沢山いらっしゃりとても驚いています。お亡くなりになられた方のご冥福と、行方不明の方々のご無事をお祈りいたします。
さて、今回は「重陽の節句」と「仲秋の名月」が続いて訪れます。重陽の節句が9月9日(金)、仲秋の名月が9月12日(月)です。
「重陽の節句」は、別名「菊の節句」と言われます。旧暦では、この時期「菊」の花がとても美しい時期です。まさに旬です!古来から、菊の美しさは人々を魅了してきました。美しさのみならず、菊の花の香りも楽しまれました。宮中では、重陽の節句の時期に、菊の花に綿を被せ、それを夜露に合わせていました。その綿に香りを移し体を撫でていたりしていたようです。中国では、不老長寿の薬としての信仰があり、鑑賞用としてではなく薬用として栽培されていたようです。という事から、平安時代には重陽の節会という行事が行われ、菊の香りを移した菊酒を飲み邪気を祓い長命を願うと言う風習もあったようです。現在は、仏事の花としてかなり流通していますが、以前は様々に私達の身の回りにあった花でした。後に品種改良等が進み、現在も菊人形展等が催されています。現在は、薬用ではなく鑑賞用として私達の目を和ましています。
「仲秋の名月」は、ススキと団子のお飾りで代表されます。月を愛でるということは、古く縄文時代からあったようです。中国から仲秋の十五夜に月を見る祭事が伝わると、平安時代頃から貴族の間で観月の宴等が催されたようです。別名を尾花と言い秋の七草の一つに数えられています。また、私達の生活には密接な植物で、屋根を葺く材料とされていました。その為茅を管理する組織も村々にあったようです。炭俵、草履、箒にも利用されました。多くの植物が薬用として使われてきましたが、ススキは私達の生活を支えるにあたって、数多くの用具を作るに当たっての必需品でした。然し、何故御月見にススキなのでしょうか?「備後国風土記」の逸文にある「蘇民将来」の神話に事を発しているようです。
その中に、蘇民将来に心安く宿と提供し、貧しい中でもてなしをした領民に茅の輪(ちのわ)を授けた。その茅の輪を付けた領民は、疫病から身を守られたそうです。その茅(ち)は生命力が旺盛で、神秘的な魔除けの力を有すると考えられました。それが後々大祓として6月と12月に行われ、6月の大祓が夏越の祓、夏越の神事として残りました。その神事に神話の茅が使われ、夏越の祓いに「茅の輪潜り」(ちのわくぐり)を行うようになりました。それが家庭にも持ち込まれたのではないかと思います。それが仲秋のススキに繋がっているように思います。一説ですが、ススキの「スス」は葉がまっすぐ伸びる姿、「キ」は芽が萌え出る意味を持つそうです。
昨今は、気象状況の異変で様々な出来事があります。私達も、植物のように生命力旺盛に生き抜きたいですね!(児玉)
2011年9月8日
皆様 こんにちは。処暑も過ぎたのに、なかなか秋風が吹きません。今週も暑さがぶり返すとの予報が出ています。また、台風もやって来ていますね。
さて今週はケイトウを御紹介します。ヒユ科の一年草の植物で、原産はアジア・アフリカの熱帯地方とされています。学名は「燃焼」と言うギリシャ語に由来します。なかなか特徴を掴んでいますね。(児玉)
日本には奈良時代に中国を経て渡来し、嘗ては「韓藍」と呼ばれていました。花穂の状態から、羽毛・久留米・鶏冠等の系統があります。花と葉はアフリカと東南アジアで食用にされており、日本でも食用植物として栽培されていた時期もあったようです。お隣の韓国では、穂粒は豚の飼料にして、根や茎は干してネズミ除けに使われているとのことです。
実は、花の様に見える赤い部分は、茎が変化したものだそうです。ケイトウの本当の花は、赤い部分の下に隠れるように開花しています。なかなか解り難いものです。意外な花です。
ケイトウ自体、私達は墓前の花のイメージが強いように思います。然し、古くは生け花ではケイトウを真(中心)にする活け方が伝えられています。花穂がとても印象的だからでしょうね。畑で栽培されていますが、ケイトウが育っている様子を見ると圧巻です。最近ケイトウを見ると、「ヨハネス・フェルメールの青」を連想します。オランダの画家ですが、現存する絵画数は少なく稀少なようです。(あまり絵画に詳しくないのですみません。)
そのフェルメールが描いた絵画の中に「手紙を読む青衣の女」があります。(只今京都市美術館で公開中!!)その「青」がとても鮮やかで美しく印象的なのです。鉱物絵具を使っているようです。その色合いが、ケイトウの鮮やかな色彩(特に赤!)を連想させるのです。(ちょっと余談になりました。)
最近は、様々な活け方を楽しんで頂きたいと言うことで、生産者の皆様も日々研鑽されて消費者の皆様のニーズに応えられるような色を模索されています。愛知みなみから出荷されている(渥見半島)羽毛ケイトウあたりは、草丈も80cmを超えるものあり、特に花穂は30cmを超えます。今までの花穂あたりの倍はありそうです。それらの色・大きさを使って、ブライダルあたりへの花材として需用を模索しています。今までにないケイトウも現れるかも知れません。(児玉)
2011年9月3日
皆さん こんにちは。今回より、花 “うたかた”と題して、毎週水曜日午前11時半にNHK広島で放映されています「ひろもり 新鮮市場」で紹介した「花」を、より楽しく紹介させて頂くことになりました。どうぞ宜しくお願い致します。また「ひろもり」も御覧いただければ幸いです。
今回は、秋を代表する「リンドウ」を紹介させて頂きます。
リンドウは、リンドウ属リンドウ科の植物です。本州から四国・九州の湿った野山に自生します。釣鐘型の花を、茎の先に上向きにいくつも咲かせます。以前は、田の畔等にアキノキリンソウ等と咲き乱れていましたが、環境の変化によりなかなか見ることが出来なくなりました。
現在流通しているリンドウは、エゾリンドウは、を品種改良したものです。自然では、草丈が20cm~60cm位ですが、品種改良の御蔭で1mを超えるものもあります。色も様々あり、写真で紹介しているのはほんの一部です。現在市場では、20種程、皆様のお手元に届けられています。
リンドウ自体、どちらかと言うと栽培は寒・高冷地に適しています。暖地ではなかなか株を維持出来ません。
また生薬としても有名で、漢方では根を竜胆と言い、健胃剤として利用されます。古名を「エヤミグサ」(疫病草・笑止草)と言います。疫病に効く?のかもしれません。笑止草とも書きますが、おそらく笑いが止まるくらい苦いという理由からきているように思います。
文献には、和名抄(931~938年)に和名としてニガナ・エアヤミクサとして著されています。出雲国風土記にも著され、「枕草子」にも描写されています。
リンドウは咲かないとよく言われますが、日が当たると開花します。部屋の中でも、若干陽が射す所におくと開花します。不思議なものです。水揚げは良い方ですが、節の部分が折れやすく、つい節を折って水につけてしまいますが、節の部分は繊維が詰まっていますので水が揚がり難いのです。出来れば、節と節の間を切るか、折ると良いと思います。折ると水に当たる面積が、切った状態より大きくなるので水を吸い上げ易いのです。また花が沢山付いているので、より多くの水分を花に送り込む為にも出来る限り余分な葉は取り除いた方が良いと思います。
リンドウをはじめ様々な花が、私達の生活に潤いを与えてくれています。身近な食物、生薬、そして心の糧としてです。そんな「うたかたの花」を身近に置いて、ひと時の憩いを持って頂ければ幸いです。(児玉)
2011年8月28日
間もなく「処暑」ですが、残暑まだまだ厳しく熱中症の知らせを聞くことがままあります。また、凄惨な事件も起き驚愕の日々です。然し、変わらなく咲く「花」は私たちの和みです。旧盆も終わり、秋に向けていよいよ始動です。茅はススキとなり穂を出し、季節の巡りを感じます。
さて、今回ご紹介するのは「ナナカマド」(七竈)です。北海道、本州、四国、九州の山地から亜高山帯に、またアジア東北部に分布する植物です。高さは7~10m位になります。5月から6~7月にかけて白い花を咲かせ、早いところでは7月下旬には実を付けます。木の実は、季節が進むと赤く色好き、秋の風情を醸しだします。葉も同じ様に紅葉が進み、とても美しく紅葉し、モミジに匹敵するくらいの美しさです。
実はこの「ナナカマド」はバラ科の植物です。ちょっと意外ですね。この実はとても堅く、燃え難いことでも知られています。この燃え難い性質から、「ナナカマド」の名の由来もあるようです。大変燃え難く七度竈に入れても燃えないという説が一般的ですが、七度焼くと良質の炭になるという説、食器にすると丈夫で壊れにくいことからも名前の由来があるようです。この様な事に燃え難いとされることから、火災除け、落雷除けの木ともされたようです。然し、実際に燃やしてみると、燃えるのが遅いようですが、それなりに良く燃える!?そうです。
種類も多く、北半球の温帯におよそ100種分布しているようです。葉裏が粉を吹いたような白色の「ウラジロナナカマド」、中国原産の「ニワナナカマド」、ヨーロッパ原産の「セイヨウナナカマド」、「ナンキンナナカマド」、「ホサキナナカマド」等が知られています。「ナナカマド」、「ナンキンナナカマド」、「ホサキナナカマド」は、生け花花材としてよく流通しています。
一寸変わったところでは、私達は「ナナカマド」自体堅くて雄々しい樹木に感じます。然し、ロシアでは「ナナカマド」はそのたおやかさから、女性のイメージとして詩や文学に登場します。因みにロシアで男性を指すのは「樫」の木だそうです。然し、耐寒性があり氷点下50~60度になる冬のシベリアでは、樹木の中の水分が凍りつき、樹木が裂けてしまう中、ナナカマドは風に靡きながら厳冬に耐えるそうです。やはり女性は強いのでしょうか?(失礼!)
程無く訪れる紅葉の秋。目にも鮮やかに紅葉したナナカマドの葉と実を活けて、存分に一足早い秋を満喫して和みたいと思います。(児玉)
2011年8月17日
8月8日は立秋に当たります。然し、まだまだ暑さが続きます。気のせいだと思いますが、私が幼い頃には、お盆の頃になると涼しくなっていたような気がします。夏休みには、父方の伯父の家で過ごしていましたので、田舎は涼しかったのかも知れません。それとも、年々年を取って暑さが身に沁みるのかも知れません!?
さて、広島には原爆の日があり、続いてお盆に入ります。様々なお花を持ち、平和公園にお参りされる方々を見かける時期になります。高齢化が進み、お参りに赴かれる方々も暑さの中大変な事と察します。然し、「原爆記念日」は永遠に続くものです。いつもこの時期になると、お参りにお越しの方々に新鮮なお花をお届出来るようにと心掛けています。
その花の中に「ホウズキ」があります。この花は、ナス科の植物で、原産は東南アジアです。他には南欧やアメリカ大陸の温帯に自生しています。主として観賞用や食用に栽培されています。多年草で、草丈は60~80cm位になりますが、通常市場で流通しているものは1m以上です。6月から7月に花を咲かせます。花を咲かせたあと、萼(六角
状)の部分が発達して実を包み袋状になります。
名前の由来も面白く、カメムシが好むことから名が付いたとも言われています。カメムシの古名はホウ、ホオで、カメムシが好きな花なので「ホウズキ」なのです。また、子供が果実を鳴らして遊ぶ「頬」の様子から、「頬突き」(ほほつき)から来たとも言われています。
漢字では、酸漿、鬼灯とも書きます。これは中国語で小さな赤い提灯を指します。英語では、Chinese Lantern Plantと呼ばれます。なかなか的を得た表現ですね。
仏教習俗の「お盆」では、ホウズキの実を提灯に見立てて、枝付きで精霊棚に飾る風習があります。御先祖をホウズキの明かりでお迎えするのです。とても外来の植物とは思えないです。江戸時代から続く江戸浅草の浅草寺の「ホウズキ市」は有名です。花の開花の時期に合わせて、各地で様々なホウズキ市が開かれています。
植物全般ですが、毒性の強くない物は概ね食用や薬用にされ、私達の生活の中に深く馴染んでいます。ホウズキも酸漿根と言われ、咳止め、解熱、利尿剤等に用います。意外なところにも登場します。それは「古事記」です。スサノオの尊が退治したヤマタノオロチの目は、まるでホウズキ(あかかがち)の様だったとされています。やはり日本人の表現方法は、詩情豊かなような気がします。植物との馴染みの深さを感じます。(児玉)
2011年8月9日
暑い日が続きますが、皆様は如何お過ごしでしょうか?夏台風も過ぎ、一時期暑さを凌ぐことが出来ました。でも・・・・。熱中症には気を付けてください!
今回御紹介するのは、遠く北信州からの出荷の枝物です。
フィソカルプスとウェイゲラそれとカールグラスウィーローの3種類です。
フィソカルプスはバラ科の植物で、和名はテマリシモツケと言います。北アメリカ北東部原産で、耐寒性に非常に優れています。品種にもよりますが、特に黄金葉の品種は5月中旬~下旬に鮮やかな黄色を呈します。6月中旬~下旬にかけては花が咲きます。秋から初冬にかけては、新葉は常に黄色ないし黄緑色です。霜が降りると若干色づきますが、なかなか落葉しません。赤い色の葉を持つ「ディアボロ」という品種もあり、赤い色が印象的なフィソカルプスです。
ウェイゲラはスイカズラ科の植物です。タニウツギ属は日本及び朝鮮半島、中国に約10種分布しています。平地から2000mくらいの山地まで分布しており、本州、北海道を主とする日本海側の山地に多く分布しています。主として日本で種の分化が進み、概ね7種があるそうです。北信州から出荷されるものは、突然変異で葉の色合いが変化したものを品種の選別をかけて、園芸品種として栽培したものです。
カールグラスウィローは、柳の一種です。メガネヤナギ、勾玉柳とも言われています。葉の部分が丸くカールしており、とても可愛い葉を持っています。小さくても特徴がしっかり出ており、特徴を生かしてアレンジにも有効に使えると思います。
種々の花が、各地方から送られてきます。各々の特徴を掴み、地域に合った植物を生産出荷されています。自ずから植物の素性を察して生産されることは、当然その植物にとって見れば良いコンディションなのです。それは植物にストレスを与えず、良い環境で植物を育てていることになります。より丈夫な花になるのです。日持ちも良くなります。暑い最中ですが、多少なりとも効果があろうかと思います。今回紹介する3種類も、植物の素性を弁えて栽培されています。旬も大切ですが、植物本来の成り立ちを熟知することの大切さをしみじみ感じます。 今後も、珍しい花や日持ちの良い花等を新鮮な状態でお届けしたいです。最近は、バケットに水を張り輸送しています。これも植物の鮮度を保つものです。より良い状態の花を、日々お届け出来るようになりたいものです。その花を活けて、夏の暑さを吹っ飛ばして下さい。(児玉)
2011年7月27日
早いもので、いつの間にか7月になりました。本来ならばもっと早くにと思っていたのですが、色々と調べてみると七夕も地方によって2回あっても良いのではと思いました。
幼いころは、短冊に願い事を書いておりました。今半世紀を超える年齢になりましたが、願い事もいくつか叶い、恙無く生活をしております。感謝・感謝です。
さて、七夕と言えば「笹」ですが、どうしてなのかと不図思いました。調べてみると、このころ各所で夏越の祭りが行われます。茅の輪を潜り、無病息災を祈る祭りです。その茅の輪の両脇に立てるのが「笹」です。それが七夕の笹になったようです。七夕自体は、日本・中国・ベトナム等では、節句のひとつになっています。お盆の行事の一つとして行われ、精霊棚とその幡を安置するのが旧暦の7月7日の夜、それに当たるそうです。そういう訳で7日の夕で「七夕」と呼ばれています。そういう理由で、明治以降は、新暦・旧暦と二回の七夕が誕生しました。新暦では、7月7日ですが、旧暦では8月6日がそれに当たります。私の暮らしている広島では、旧盆で行事を行います。ですから暦で言うと8月6
日の夕刻が七夕になります。巡り合わせですが、今年は原爆祈念日にも当たり、精霊をお迎えするには良い日柄です。
私達は、笹と竹の区別をなかなかつけ難いものですが、見分け方があります。まず竹は、竹皮(桿)が落ちますが、笹は生長しても竹皮が落ちません。また、竹は本来温暖で温潤な地域の植物です。ですから北海道にはありません。帰化植物なのです。笹は日本にも自生しており、耐寒性もあり、この両種は、南はオーストラリアの北部~ヒマラヤ地域またはアフリカ中部にまで及びます。然し、北アフリカ、ヨーロッパ、北アメリカには見られません。土着の種も多いのです。しかし、どちらもイネ科の植物です。
竹も笹も私達の生活にはとても密着した植物です。竹皮は、オニギリを包む道具の一つになり、竹自体は、器や花器に多く使われます。当然筍は絶品です。また、竹林は防火帯にもなります。帰化植物とはいえ、とても日本の環境に合い、日本人に利用されています。
馴染みの深い植物です。 忘れていました!竹取物語も竹ですね。生活の一部から文化の一端まで入り込んでいます。他の植物ではなかなかありませんね。日本人は、様々なものをうまく利用します。(児玉)
2011年7月13日
いよいよ梅雨に入りましたね。今、筆を進めている時も、じわじわ汗が!?
この時期は、何をさて置いてもアジサイですね!雨に打たれたアジサイ、とても鮮やかな色を放ち、私達を魅了してくれます。
アジサイ科(ユキノシタ科?)アジサイ属の植物です。学名は「水の器」・「水の容器」と言う意味です。和名のアジサイは、「あづさい」が訛ったものです。「あづ」は「あつ」(集)、「さい」は「さあい」(真藍)が合わさった言葉で、青い花が集まって咲く様を現したのです。私達の周りにあるアジサイは西洋アジサイと言い、日本原産のガクアジサイを改良したものです。
また、私達が「花」と思っているのは、実は萼が変化したものなのです。装飾花と呼ばれています。花は、萼の中心にある小さなものがそれにあたります。とても可愛い花です。なんとなく以外な感じです。
花の色は、土壌の成分で色が決まると言われています。酸性の土壌には青い花、アルカリ性の土壌には赤い花と言われていますが、あくまでも一つの要因でしかないようです。土壌の成分に影響されます。いくらPHが高くても、アルミニュームの含有量が作用するようです。酸性土壌でも、アルミニュームが少ないと青色にならないのだそうです。
然し、残念ながら美しいものには毒があります。通常接している分には影響はありませんが、経口すると危ないのです。植物全般は、多少に拘らず毒性があるものです。切り花でお使いになるには然程影響はございません!御安心ください!
雨に打たれたアジサイの花は格別に美しいと思います。長崎地方では、アジサイの変わった呼び方があります。私達が知っているオペラ「蝶々夫人」の中の人物に、その名前の由来を知ることが出来ます。それはシーボルトの恋人「お滝さん」に命名の由来を持ちます。シーボルトが恋い焦がれた「お滝さん」を、アジサイの花の如く美しいと賞賛しました。それが訛って「オタクサ」と言う名前で呼ばれています。恋人の名前を冠するなんて、私のような凡人には「素敵」としか言いようがありません。因みに私の名前は・・・・・。
アジサイは、よく水が下がり易いと言われます。折角の美しい花が萎れるととても残念です。新芽の部分は、草のように緑の軸を持ちます。その先端に花が咲きます。昨年の軸は、よく見ると木のようになっています。その部分から切り取ると水が揚がり易いです。その部分を叩くと因り良いように思います。ただし、叩いた部分が見た目良くないので!?軸を焼くという手もあります。まだまだ水揚げの方法はありますが、何より水が下がりかけたかなと思ったら、迷わず早めに処置をしてください。私達と同じで、早期発見・早期処置です!美しい花を何時までも身近に置いて下さい。(児玉)
2011年6月18日
小満を過ぎて、いよいよ植物達の活発な活動が始まります。花を咲かせ、私達を楽しませ、そして世を継ぐために実を結実させる。そんな季節ですが、今年は例年になく、様々な植物が、その時期を遅らせています。私達は、「喉元過ぎれば熱さ忘れる!」なのですが、植物達はそうはいきません。色々な準備をして、次の世代に繋いでいくのです。早春の寒さが応えています。特に枝物はそれを感じます。
そんな中、今年も「スモークツリー」の出荷時期を迎えました。別名を「はぐまのき」と言います。ウルシ科の植物で、原産は中国中部、ヒマラヤから南ヨーロッパに分布しています。高さは3m~5m位になります。枝葉を付け、とてもボリュームのある木です。皆さんが花と思われている部分は、名前の通り煙がたなびいているようにフワフワ感があり、ある意味とても大きな木の様相を呈しています。
実は、花と思しき所は花の柄が細長く伸びたところです。花自体は不稔花のものもあり、その花柄が伸びたものです。本来の花は非常に小さく、直径3mmの花弁5枚で形成されています。
「はぐまのき」の由来ですが、はぐまは「白熊」と書きます。黒だと「黒熊」(こぐま)、赤く染めると「赤熊」(しゃぐま)と言います。払子(ほっす)(仏具)や、旗・槍・兜等の装飾に使います。その払子に形が似ていることから、「白熊の木」(はぐまのき)と命名されたようです。
婚礼の花や祝の花、ブーケ等に使用されます。また、生け花の世界でもよく活けられます。ボリューム感もあり、使い勝手が良い花です。色も様々、ピンク、ホワイト、グリーン、レッドとあり、皆様のお好みの色を選べます。大きさも様々あり、大きいものは1m以上、小さいものは60cm位まで用途に合わせて購入出来ます。大きく飾るも良し、小さくテーブルに飾るも良し、枝物と言う観念を外して活けられます。つい枝物だから大きいし活け難いと思われますが、花の部分だけを使っても良いし、全体を活けてもイケます。枯れて乾燥しても、ドライフラワーとして利用できます。二度使えます。
是非アレンジに使ってみてください(児玉)
2011年6月1日
皐月を迎え、巷はゴールデンウィークとなり来ました。東日本大震災で犠牲になられた方のご冥福をお祈りし、今現在も被災生活を強いられておられる方は、一日も早い復旧を祈念します。今回ほど「普段の生活」がしみじみ良いものだということを思い知らされる日々です。
今年は例年になく寒さの残るこの頃です。日々の温度差が極端で、植物にとっては(私達にとっても)辛い春から夏への候です。
やはり花の生育も、全てではありませんが遅れており、例年より少し様子が違うように感じます。しかし、植物は強いものです。いつの間にか芽が出、花が咲いてきます。その姿を見ながら日々を過ごしている私達は、とてもとても幸せです。
今回は、「ビバーナム スノーボール」を御紹介します。
スイカズラ科ガマズミ属の耐寒性落葉低木です。樹高は約1,5m位になります。別名をセイヨウテマリカンボクとも言います。花の全容は、まるで白いアジサイのようです。蕾の時期は、シャーベットグリーンで爽やか系の色合いです。開花が進むと、徐々に白に代わっていきます。よく似たものにオオデマリがあります。別名
テマリバナと言います。この花も同じガマズミ属の花です。葉の形状も違いますが、ビバーナム スノーボールは枝がしなやかで、花は垂れ下がるように咲きます。水揚げも思いのほか良い花です。垂れ下がるように花が咲くため、皆様方は水が揚がってないように思われていますが、実はしっかり揚がっています。御安心ください。花首を触ってみると、おそらく花軸が固いと思います。それは水が揚がっている証拠です。葉もそれなりにありますので、多いようであれば少し取り除いて下さい。如何しても水が揚がり難い時は、軸を金鎚のようなもので砕いて水に当たる表面積を増やしてやると水が揚がり易くなります。
日当たりの良い場所、半日陰の場所、いずれでも育ちます。よく肥えている土壌と温かい場所を好みますから、南向きか北風の当たらないところに植えたり、また鉢を置くと良く育ちます。挿し木でふやすことも出来ます。
切花・鉢植え両方に人気のある花です。然し残念なことに、5月上旬には一気咲いてしまい、ちょっと気を許すと花期を逃してしまいます。素敵な花は、あっという間に咲き、私達に季節の移りを知らせてくれます。(児玉)
2011年5月5日
今年度も「枝物歳時記」続きます。今年度第一回目、よろしくお願いいたします。
いよいよ四月ですね!震災から早や一か月が経ちます。お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに、行方不明の方々の一日も早い安否確認が進むことを念じております。
さて、今回は「霧島ツツジ」を御紹介します。この時期に美しい花を沢山咲かせてくれ、私達の目を潤してくれます。広島市中央卸売市場「花満」では、年4回植木大市が開かれます。3・4・10・11月の4回です。今回、霧島ツツジの開花した植木の豪華さにひかれてしまいました。
語源は、「つづきさきぎ(続き咲き木)」とか「つづりしげる(綴り茂る)」とかが転訛したものです。また、漢字では「躑躅」(てきちょく)と書きます。私には書けませんが、この意味は「行って止まる」、見る人の足を引き留めるくらい美しい花を咲かせるからのようです。
ツツジ科ツツジ属の植物で、常緑または落葉性の低木です。花も見事ですが、紅葉した葉も美しものです。花は漏斗形をしており、万葉集あたりでは「管士」・「管仕」・「管自」という字を当てはめていたようです。
霧島ツツジは江戸キリシマとも言い、鹿児島地方の野生種から選抜されたものを、江戸初期1656年に江戸に持ち込まれ発達したものです。その後全国に広まり、生産も明治から大正にかけて盛んに行われた。時代も進み、江戸霧島を親として「久留米ツツジ」が生まれました。
いけばなにおいても、「壇の躑躅」としていけ継がれています。まさに躑躅(てきちょく)としていけばなをなさる方もそういう風に感じていらしたようです。ツツジの美しさには目を奪われます!!
沢山の花をつけるツツジですが、水揚げはとても良いです。但し、枝物ですから切り口の部分は十文字に切るか、切り口を鉄鎚等で砕くとより水揚げが良いと思います。
花は、ほんの一時の美しさでしかありません。現在様々な技術が駆使され、本来の花の時期でない折にも沢山の花が出回っています。然し、果物・野菜と同じで、本来の花の時期に咲く花が一番美しいと思います。またよく花が持つと思います。自然に敵うものはないよう思います。今年は野山で、思いきり「旬」の花を楽しんでください!!(児玉)
2011年4月6日
なかなか春が来そうにない気温が続きますが、皆様は御風邪を召されてはいませんか?私の周りには、風邪をひいた同僚も居り、一寸した流行になっています。
福島の原発も、放射能汚染が伝えられ、事故の終息も当分先になりそうな様子です。幸にも中国地方という距離のある所に生活をしているので被爆の恐れはありませんが、過去を振り返ると他人事とは思えない日々です。
さて、今回は「山吹」を御紹介しましょう。本来、花の時期は4月で、低山の明るい林の木陰に群生します。落葉低木と言うことではありますが、茎は緑で細く、柔らかです。樹高は1m~せいぜい2mくらいです。地下に茎を伸ばして群生します。緑の葉に、鮮やかな黄色の花を沢山に付けます。幾ら目の悪い私でも、花の時期には、車を走らせていても山際に咲く山吹は解ります。然し花の時期が短く、気が付くと花を終らせています。この山吹は、御多分に漏れず属の多いバラ科に属します。北海道から九州まで分布しており、中国にも産します。一重のものと八重のものがあり、庭木には八重が好まれるようです。一重のものには実が付きますが、八重のものには実が付きません。白の山吹もありますが、これはバラ科のシロヤマブキ属です。こちらは、樹皮も茶色で木の様相を呈しています。山吹は、いけばなにも多用されます。美しい線と印象的な花。可憐な中に、力強ささえ感じます。シロヤマブキもいけばなに使われますが、茶花にも挿されます。
この「山吹」には逸話があります。大田道灌と村娘との係りです。大田道灌が鷹狩りに出かけた折、俄雨に会い雨宿りをした家で、蓑を所望したそうです。然しその家庭は貧しくて蓑もない位でした。その家の娘が出てきて、山吹の花を一枝差し出したそうです。道灌はその意味も解らず、その行為に怒ったそうです。其ののちそ
の意味を進言され、それを恥じ、和歌の勉強をしたそうです。その歌は「七重八重 花は咲けども山吹の みのひとつだに なきぞかなしき」 実のと蓑の掛詞だったのです。
この逸話から察すると、八重の山吹には実のならないことを知っていたということです。自然に密着した生活だからこそ解ることです。風情を弁えた御和歌です。実はこの和歌は、醍醐天皇の皇子・中務卿兼明親王が詠まれた歌です。古くから親しまれた花でもあります。
身分の高い・低いに拘らず、昔の方々は自然に密着した生活をされていたようです。私たちの周りにある植物は、私たちの生活の指標となっているだと思います。また一つ植物の違う面を見たような気がします。(児玉)
2011年3月31日
夜間はまだまだ寒さが沁みますが、春分と間近となり春の節目が訪れています。皆様は如何お過ごしですか?私は、二月下旬に行われた広島の花卉業界全体で行う「花の祭典」が無事終了しまして、少し安心し若干体調が!?イマイチです。然し、御蔭様で沢山の方にお出で頂き有難うございます。
然しながら、東北地方では未曾有の災害に見舞われ、当該地方の方々は大変な日々を過ごされ、またお亡くなりになられた方も数知れずとのこと、御冥福をお祈りいたします。
さて、市場は冬の蒸かし物(ハウスで早く咲かせる)も盛りを迎え、桜・レンギョ等の様々な花木が出荷されています。今回は「八重桜」を御紹介したいと思います。
八重桜は、家桜とも言われており、園芸品種が殆どです。広島では、佐伯区の造幣局(佐伯区五日市)がとても有名です。色も様々で濃いピンクから薄いピンク、黄色と私達の目を楽しませてくれます。元々八重桜は、奈良時代、聖武天皇の御世に天皇自身が三笠山で見出され、「奈良の八重桜」として世に知られるようになりました。一条天皇の御世には、八重桜の奪い合いもあったようです。現在まで伊賀上野では、「奈良の八重桜」の花守(花垣の庄)の家系が続いているそうです。「いにしえの 奈良の都の八重桜 けふここのへに にほひぬるかな」 伊勢大輔 詠
当市場では、「御車返し」・「紅豊」・「関山」・「中・大提灯」と様々です。特に最近は紅豊が多く、蕾の時期はとても濃いピンクが印象的です。花が終わり掛けると、また色が濃くなり別の意味でとても奇麗です。また、少し時期が進むと提灯系統の桜が出荷され始めます。濃いピンクで、花が下向きに咲く品種です。花弁も多く見事です。私達の時代は、小学校の入学式には桜が付きものでした。染井吉野の花の下を潜り、入学式に向かったものです。最近は、特に温暖化の影響で開花が早くなり、一重の桜より開花の遅い八重桜が、幸いにも入学式に合うようになりました。一重、八重の違いはありますが、桜は祝の花ですね!
しかし、八重桜は花弁の多さから、大ぶりに桜を活けるときたまに水を下げることがあります。その時には樹皮を削り取って水に浸けるとあがり易いと思います。是非試して見てください。自然の環境は徐々に変化していますが、植物はそれに上手く合わせて、四季折々に素敵な花を私達に見せてくれます。(児玉)
2011年3月17日
皆さん、如何お過ごしでしょうか?急に寒くなったり、温かくなったり、私のように50歳を過ぎますとなかなか気温の変化についていけなくなります。インフルエンザの流行、杉花粉の飛散予想等、毎日の情報が気になります。御身体には十分気を付けてください!
さて、このような中でも、植物は着実に春へと準備を始めています。最近私が特に目を引くのは、「紅白の梅」です。よくお正月花に梅を使います。然し、やっと季咲きの季節を迎えてきました。当市場にも季咲きの梅が入荷しており、馥郁たる香りを活気溢れる市場に満ち溢れさせてくれています。
梅は、バラ科サクラ属の植物で、アンズに近い種です。英名では、JAPANESE APRICOT(日本アンズ)と呼ばれています。和名も数々あり、好文木(こうぶんぼく)・春告草(はるつげぐさ)・木の花(このはな)・初名草(はつなぐさ)・香散見草(かざみぐさ)・風待草(かぜまちぐさ)・匂草(においぐさ)等あります。春の香りを現した表現が多いような気がします。花木の中では、特に香りの強いものです。花の見事さ、香り二通りの楽しみ方の出来る花木です。概ねの植物は、薬用・食糧としての流通が主でしたが、装飾としての花は、農耕が定着し食料が安定供給されるようになってからです。奈良時代以前までにおいては、「花」と言えば「梅」を差していました。現在のように桜が花と称されるのは、平安時代中期以降の事です。然し、生け花の世界においては、梅の存在は確固たるもので、桜に比べると様々な活け方があります。白梅の雄々しさ、紅梅の優しさ、若い徒長枝、苔木等を使い表現します。生け花の古書にも「梅」は数多く登場します。桜に比べると、花の豪華さにおいては見劣りがするかも知れませんが、風情は特別なものを持っていると思います。尾形光琳の「紅白梅図屏風」に現されているが如くです。
梅は、中国では紀元前から酸味料として使用されていたようです。塩とともに最古の調味料とも言われています。皆さんがお使いになる「あんばい」は「塩梅」で、梅と塩による味付けが美味しくいったことを意味します。漢方薬としても、様々な加工を施し、止血・強心作用等に使用されます。さらりとした梅酒もありますね!?家紋にも、梅の花を図案化されたが見受けられます。有名な歌も「東風吹かば にほいおこせよ梅の花 主なしとて春な忘れそ」とあり、いくら桜に花の座を取って変わられたとはいえ、これだけ私達の心の中にしっかりと定着した花はないように思われます。
もう一度「梅」の美しさを見直したいと思います。(児玉)
2011年2月23日
早いもので、一月の中旬になって参りました。然し、この寒さは耐えがたい寒さですが、皆様は風邪を召されてはいませんか?手洗いと嗽はちゃんとしましょう!!
ところで、例年ならばこの時期は、かなり多くの蒸かし物(温室に早く入れて、花をいち早く咲かせる)が出荷されます。然し、今年は気温が低く、じわじわと原油が高騰しており、なかなかうまく出荷されていません。そんな中で、山形県から「啓翁桜」が出荷されています。
東北地方は、当然の如く地域の利点で早くに寒に当たります。その為、桜は春に向かう準備をいち早くおこないます。花芽の分化が早く始まるのです。より早く花芽を付けるのです。また寒さに合うことにより、殊の他色目も鮮やかになります。さらに、寒さのため春の準備を早くする為、早い時期から(前年の内に)ハウスに移し、花を咲かせることが可能なのです。通常、桜を早めにハウスに移し咲かせると、若干色が薄めになるのが普通です。然し、この山形の桜は色目が落ちないのです。市場においても、評価が高く、花屋さんからも人気です。啓翁桜の生産を始めて約40年、本格的に山形県置賜で生産され始めたのが約25年前です。桜が若いこともあり、樹勢も強いのです。因みに、置賜の長井には、「伊佐沢の久保桜」と呼ばれる桜があり、エドヒガンザクラでは東北地方最大のもので、推定樹齢が1200年と言われています。また、白鷹町には樹齢800年のエドヒガンもあります。置賜さくら回廊と命名し、観光の目玉にもなっています。
この時期に桜は?と仰る方もおいでになるかも知れません。私も実際咲かせるまでは、一寸疑問?を持っていました。然し、咲かせてみるととても素敵に咲くのです。魁には早すぎますが、時期尚早とは言え、かなりイケテます。
最近は様々な花が、季節を先駆けて出荷されています。雪柳・レンギョ・桃等、本来の季節を見紛う程です。技術が進み、植物の素性を捉え、それを上手く使う。また、本来の美しさを失わないことが出来る。とても素晴らしいことです。
桜は、大らかに咲くものです。最近の住宅事情の中では、なかなかそれを表現できません。それを表わす方法も種々あるとは思いますが、それを駆使して無理やり使うよりは、山形の桜の色に魅せられ、本来の桜をその一部でも楽しんでみてはどうでしょうか。私自身あまり惚れこんでもいけないのかも知れませんが、一度身近に置いて活けてみてください。(児玉)
2011年1月22日
鎮静効果 スキンケア効果 記憶力向上効果 抗ストレス効果 仕事の効率向上効果 安眠効果 集中力持続効果 健康促進効果 ポジティブ思考誘導効果 眼精疲労回復 浄化効果 免疫力維持・向上効果
アジサイ ガクアジサイ シャクナゲ ボタン カラー(湿地性) カラー(畑地性) カーネーション ヒメノボタン クレマチス イソトマ ガーベラ センニチコウ ブーゲンビリア ペラルゴニウム ハイビスカス パキスタキス アメリカンブルー ジニア(百日草) デュランタ フウセンカズラ カリブラコア カランコエ マダガスカルジャスミン アンゲロニア セレナ トウガラシ エキザカム ルリマツリ ハナスベリヒユ(ポーチュラカ) アサガオ キク(菊) クロサンドラ アザレア シクラメン コスモス キンモクセイ シャコバサボテン ポインセチア プリンセチア
ブルースター ガーベラ スプレー菊 スカビオサ バラ カーネーション アジサイ ひまわり りんどう クルクマ トルコキキョウ 蓮
ポトス スパティフィラム サンスベリア クワズイモ グズマニア ハートファーン(イヌアミシダ) オリヅルラン ストレリチア(極楽鳥花)