花と緑の生活
皆さん、如何お過ごしでしょうか?急に寒くなったり、温かくなったり、私のように50歳を過ぎますとなかなか気温の変化についていけなくなります。インフルエンザの流行、杉花粉の飛散予想等、毎日の情報が気になります。御身体には十分気を付けてください!
さて、このような中でも、植物は着実に春へと準備を始めています。最近私が特に目を引くのは、「紅白の梅」です。よくお正月花に梅を使います。然し、やっと季咲きの季節を迎えてきました。当市場にも季咲きの梅が入荷しており、馥郁たる香りを活気溢れる市場に満ち溢れさせてくれています。
梅は、バラ科サクラ属の植物で、アンズに近い種です。英名では、JAPANESE APRICOT(日本アンズ)と呼ばれています。和名も数々あり、好文木(こうぶんぼく)・春告草(はるつげぐさ)・木の花(このはな)・初名草(はつなぐさ)・香散見草(かざみぐさ)・風待草(かぜまちぐさ)・匂草(においぐさ)等あります。春の香りを現した表現が多いような気がします。花木の中では、特に香りの強いものです。花の見事さ、香り二通りの楽しみ方の出来る花木です。概ねの植物は、薬用・食糧としての流通が主でしたが、装飾としての花は、農耕が定着し食料が安定供給されるようになってからです。奈良時代以前までにおいては、「花」と言えば「梅」を差していました。現在のように桜が花と称されるのは、平安時代中期以降の事です。然し、生け花の世界においては、梅の存在は確固たるもので、桜に比べると様々な活け方があります。白梅の雄々しさ、紅梅の優しさ、若い徒長枝、苔木等を使い表現します。生け花の古書にも「梅」は数多く登場します。桜に比べると、花の豪華さにおいては見劣りがするかも知れませんが、風情は特別なものを持っていると思います。尾形光琳の「紅白梅図屏風」に現されているが如くです。
梅は、中国では紀元前から酸味料として使用されていたようです。塩とともに最古の調味料とも言われています。皆さんがお使いになる「あんばい」は「塩梅」で、梅と塩による味付けが美味しくいったことを意味します。漢方薬としても、様々な加工を施し、止血・強心作用等に使用されます。さらりとした梅酒もありますね!?家紋にも、梅の花を図案化されたが見受けられます。有名な歌も「東風吹かば にほいおこせよ梅の花 主なしとて春な忘れそ」とあり、いくら桜に花の座を取って変わられたとはいえ、これだけ私達の心の中にしっかりと定着した花はないように思われます。
もう一度「梅」の美しさを見直したいと思います。(児玉)
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