花と緑の生活
梅雨も明け、灼熱の季節となりました。気のせいか、年々夏が熱くなるように感じます。(年の所為でしょうか!?)この暑さを乗り切る為に、土用に鰻を食し、体力を付けております。暑さを乗り切る工夫は、体力を付けるだけでなく他にないものでしょうか?古く私達は、打水をしたり、竹籠に季の花を活け、心の涼を求めてきました。その暑さも愈々ピークに達する「お盆」になります。「お盆」を過ぎれば熱さも一段落となってくれると良いのですが。関東では新盆ですが、私達は旧盆の8月に御先祖をお迎えし、供養いたします。その御供養に使うのが「蓮花」です。
広島は、多くの蓮畑を有する岩国に隣接しており、食用の蓮根には恵まれています。活ける花としては、当地は「蓮」がなかなか根付きませんでした。何故かと言うと、広島は浄土真宗安芸門徒で、供養の花は野にある花をという教えがあったからです。昨今は、上方の影響で「蓮花」を使うようになりました。
「蓮」の歴史は古く、インド原産の植物で、西暦2~3世紀頃には仏様は既に蓮台に鎮座されていました。仏教界においては、シンボルフラワーです。泥の中から芽を出し、目にも美しい花を咲かせる花。古き人々にとっては神秘な花だったのかも知れません。その後中国を経て日本に入ってきました。蓮に纏わる言葉もあり、
「一連托生」・「蓮の葉商い」等がそれです。また歌もあり、「ひ~らいた ひらいた なんのはながひ~らいた れんげのはなが ひ~らいた」がそうです。生け花の世界では、「蓮」の花・葉・実を現在・過去・未来に例え、宇宙観を蓮に見い出しています。植物の持つ「素性」をうまく表現していると思います。そういう意味ではとても私達に密着した花です。
蓮の葉はとても水揚げをしにくい植物と言われています。蓮の水揚げにはポンプを使うと簡単です。茎には蓮根と同じだけ穴が開いており、そこにポンプで水を送り込みます。水が上手く入ると、水揚げ前より色が変わってきます。そうすると1~2日は、上手くすると3日持ちます。また葉表の蒸散を馬油等で抑えると、若干ですが持ちが良くなります。
花も同じようにするのですが、なかなかうまく咲きません。蓮肉は大丈夫です。自然は上手くなっているもので、美しいものは寿命が短いのかも知れません。然しその美しさは、夏には欠かせない絶品の風物詩です。
今年は、気象の以上により例年より蓮花の出荷が遅れてきました。然し今週辺りから出荷も増える予定です。御先祖の御供養とともに、夏の花「蓮」の花・葉・実を身近にご覧頂ければと思います。(児玉)
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